カフェ・ロータス

Cafe Lotus

閉店・移転、情報の修正などの報告

蓮池とヒンドゥー寺院を借景に建つ、ウブドでも老舗のカフェ。冷えた白ワインや生ビールもあります。

こんにちは、バリ島ナビです。

「彼はキャフェロータスの池の蓮の茎を思い出す。彼女はお寺の中にあるそのキャフェをいたく気に入っていて、あそこは白いワインの飲めるただひとつの場所なのだ、と嬉しそうに言っていた。白いワイン。」(山田詠美「カンヴァスの棺」より)

今日はウブドの「カフェ・ロータス」をご紹介します。いまや、ウブドでは「老舗」と言っていい「カフェ・ロータス」。山田詠美が小説の中で「ウブドでただひとつ、白いワインが飲めるキャフェ」と書いた、この「カフェロータス」。それではさっそく、その「カフェロータス」を訪れてみることにしましょう。ツーリストインフォメーションと、王宮と、市場に面したウブドセンターからウブド大通りを西に歩けば、すぐにウブド寺院。そのウブド寺院から小さな路地をはさんだ先に、「カフェ・ロータス」はあります。
ウブドを訪れる日本人ツーリストが増え始めた1990年代はじめ、「カフェ・ロータス」は、ウブドを愛するツーリストたちの間で、「特別な意味」を持って思い出されるカフェであったことは、否定できない事実だと思います。目の前には、見渡す限りの蓮池が広がり、その先には、サラスワティ寺院の割れ門が聳え立っています。ロータスをあしらったスタッフの制服。かわいい食器のあれこれ。きりりと冷えた白ワインや生ビール。そしてサラダやサンドイッチ、パスタなどのお料理。お値段も「高級」ではありましたが、それでも「ちょっとおしゃれしていくカフェ・ロータス」、「ウブドに来たら、一度は行きたいカフェ・ロータス」。「カフェ・ロータス」は、そんな位置づけのレストランでした。
現在、ウブドの「カフェ・ロータス」のマネージャーは、ハンス・ハイデンさん。ホノルルのホテルのマネージャーを長く勤めたのち、フード、トラベルライターとしてトラベルジャーナリズムの世界に身をおいていたハンスさんが、ウブドの「カフェ・ロータス」のマネージャーになったのは2000年のこと。ハンスさんにお話を伺いました。
「カフェロータス」の歴史について、教えていただけますか?

「カフェ・ロータスの歴史は1983年に始まります。ウブドに住んでいたインドネシア人のリオ・ヘルミが、ウブドの王族チョコルダの敷地の一角を借りて、インターナショナル料理の小さなカフェを始めた、これが「カフェ・ロータス」のはじまりです。リオにはオーストラリア人のガールフレンドがいました。メニューの決定やレシピは、彼女が中心となりました。

1983年当時、ウブドには、「レストラン」と呼べるような店は、2軒しかありませんでした。チャンプアンの「ムルニズ・ワルン」と「ベガーズ・ブッシュ」。「カフェ・ロータス」は、ウブドで3軒目のレストランとして誕生しました。

1983年のオープン当初は、今よりもっと小さなカフェだった「カフェロータス」ですが、次に大きく変化したのは1990年のことです。イタリア人のルディーがカフェの経営に参加することになりました。こうして「ジェンガラの食器」「ロータスの図柄をあしらったロゴ」など、今我々がイメージする「カフェロータス」の基盤が、作られるようになったんです。」
毎日さまざまな国からのお客様をお迎えすると思いますが、どこの国からのお客様が特に多いのでしょうか。

「ありとあらゆる国からのお客様をお迎えします。なかでも、フランスやドイツ、それ以外でも、ヨーロッパからのお客様が、「カフェ・ロータス」の雰囲気を特に気に入ってくださるようです。もちろんアジアからのお客様も多いですよ。日本、台湾、シンガポール、韓国・・・特にそれを意識したメニュー作りはしていませんが・・・

今、メニューのお話がでましたが、1990年代前半、ウブドにはまだ、おいしいパスタやサラダやサンドイッチ、ましてやワインなどを揃えているお店が少なかったと思います。そんな中で「カフェ・ロータス」というのは、ツーリストの間ではちょっとした憧れを持って語られる存在でした。でも、今現在、世界各国のおいしいお料理をいただけるようになったウブドのレストラン事情の中で、「カフェ・ロータス」としては、メニュー構成でちからを入れていることはどんなことでしょうか。

「83年にリオ・ヘルミがここに「カフェ・ロータス」をオープンさせた時、確かにウブドで、西欧諸国の料理を口にすることは難しいことだったようです。1990年に経営に参加したルディはイタリア人です。ですからそれ以後、「カフェ・ロータス」のメニューには、イタリアンテイストが特に色濃く加えられた時代がありました。しかし私がここに来た2000年には、ウブドにも、おっしゃるとおりあるとあらゆる国の料理を食べさせるレストランがある。リオ・ヘルミのガールフレンドはオーストラリア人でしたが、オープン当時は彼女自身が、おいしいウエスタンの料理を食べたい、というのがあったのでしょう。在住外国人にとってそういうお店は大切なものですからね。でも今現在、在住外国人も食事に困るようなことはない。それよりも、今「カフェ・ロータス」を訪れるツーリストの方たちに求められるものはといえば、やはりローカルの料理。おいしいインドネシアンフードです。ですから私がマネージャーになってから、ウブドの「カフェ・ロータス」では、インドネシアンフードを充実させるように心がけました。おかげさまで好評ですよ。そのほかには、バーコーナーの充実、ということでしょうか。お酒は人生に欠かせないものですから。」
ロータス・クラブ(チキンとアボガドのサンドイッチ)3万4000ルピア+15% ロータス・クラブ(チキンとアボガドのサンドイッチ)3万4000ルピア+15%

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パイナップルの器も楽しいナシゴレン 3万2000ルピア+15% パイナップルの器も楽しいナシゴレン 3万2000ルピア+15%

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ソトアヤム(ココナッツミルク風味のチキインスープ)2万4000ルピア+15% ソトアヤム(ココナッツミルク風味のチキインスープ)2万4000ルピア+15%

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ハンスさんが「カフェ・ロータス」のマネージャーになられてから、今日までの間に、特に思い出に残るエピソードがありましたら教えてください。

「そう。フランスのテレビがコマーシャルフィルムの撮影で、「カフェ・ロータス」を使いたい、と言ってきたことがありました。誰かスタッフのひとりを出演させてくれ、と。そのスタッフが料理を持って歩いてくるところを撮影したいということだったんです。オーケー。ということでスタッフを決めていざ撮影、ということになったんだけど、いやはや、フィルムに出演することになったそのスタッフがすぐに音を上げてしまったんですよ。だって、あそこからここまで歩いてくるのに何十回って同じことをやらせるんだから。「もういいじゃないか。もういやだ」と。だから私はそのスタッフに言ったんです。「がまんしろ。我慢して言われるとおりに歩いたら、ここの給料の何倍かの出演料がもらえるんだから」ってね。いろんな国のテレビが「カフェ・ロータス」を撮影に来ましたよ。コマーシャルの撮影だとか、映画の撮影だとか、そういうものには「撮影料」というものをいただくんですけど、普通のお客さんからはいっさい頂きません。前にもバリで結婚したカップルに、この蓮池とサラスワティのお寺をバックに記念写真を撮りたいのだがいくら払えば使わせてもらえるだろうか、とたずねられたことがありました。どうぞご自由に、とお答えしたんですよ。この景色を気に入ってくださるお客様がここで写真を撮られてそれを記念になさることは、私たちカフェのスタッフ一同これほど嬉しいことはないのですから、とそう申し上げたんですよ。」

ステキですね。お話を伺ってわかるように、「カフェ・ロータス」はお料理もさることながら、なんといっても魅力的なのはこのロケーションです。見事としか言いようがない蓮池と、エキゾチックなヒンドゥー寺院をまるで借景のように持っている。こんなカフェはほかにありません。

このサラスワティ寺院がオダラン(祭礼)の時は、それはそれは幻想的に素晴らしいですよ。カフェの庭を通って、奥の寺院まで、正装したバリ人たちが捧げ物を持って歩いていく。この世のものとは思えぬ美しさです。祭礼の時でなくても、水曜日と金曜日以外は毎日、蓮池の奥、サラスワティ寺院の門前のステージで、バリダンスの定期公演を行っています。蓮池に面したテーブルでダンスを鑑賞しながらのディナーも可能です。
まさに、「これぞウブド」といったレストラン、それが「カフェ・ロータス」なんですね。

「そう言っていただけると嬉しいですね。ウブドにも本当にレストランが増えましたし、「カフェ・ロータス」も、いまやバリだけで、ヌサドゥア、サヌール、スミニャック、チャンディダサなど全部で6軒、そのほかにロンボクに1軒、シンガポールに2軒、レストランを展開しています。でも、間違いなく「カフェ・ロータス」の歴史は、ここ、ウブドから始まりました。蓮池とサラスワティ寺院に囲まれたウブドの「カフェ・ロータス」は、やはり「特別な場所」なのですよ。」

エアコンもないし、おしゃれなBGMも流れていない、「カフェ・ロータス」。でもそこには、ウブドの移り変わりを静かに眺めてきた「落ち着き」があります。昼下がりの「カフェ・ロータス」は、蓮池を眺めながらゆっくりとお食事を楽しむ年配の欧米人の姿が目立ちます。ここにはやはり、ちょっと「おしゃれ」をして出かけたい。それは、けして高級なものを身に着けて、ということではなくて、白いシャツに、市場で買ったお気に入りのサロンを巻きつけただけで構わない。でも、自分なりのおしゃれやスタイルを持っている人にこそ似合う大人のカフェ。ウブドの「カフェ・ロータス」にはいつまでも、そんなイメージがあるのです。ウブドで一番夕暮れの白ワインが似合うカフェ。あなたも、「カフェ・ロータスで白ワイン」いかがですか?
以上バリ島ナビでした。

記事登録日:2010-01-29

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-01-29

利用日
女性 男性