ティルタ・サリ「レゴン&バロン・ダンス」

Tirta Sari"Legong & Barong Dance"

閉店・移転、情報の修正などの報告

楽器が奏でる繊細な音色のメロディと美しい踊り子が観客を酔わせる。バリ舞踊の華、レゴンを得意とする楽団

こんにちは!バリ島ナビです。
ここ「ティルタ・サリ」ほど、知名度の高いバリ芸能グループは存在しないでしょう。世界各国でのツアー公演をこなしてきた熟練グループが使う楽器は「スマール・プグリンガン」と呼ばれ、古くは王宮の寝所でのみ演奏されていたという楽器で、日本人から特に好まれる柔らかくて繊細な旋律を奏でます。踊りのクオリティの高さと相まって、とにかく華やかの一言に尽きる洗練されたパフォーマンスが披露されます。

ティルタ・サリ公演の会場

会場はプリアタン村にあるバレルン・ステージ。笑顔の爽やかな男性がチケット売り場でお迎えしてくれます。今回の公演は席の確保が難しいのでも有名。写真が撮りたかったので、良い席を狙って会場へは6時到着。チケット係さんから一番乗りだと教えられて、思わずガッツ・ポーズ!
会場内へ入ると、なんとリボン付きのカバーで覆われたフカフカの椅子が待っていました。以前は赤いプラスチック椅子だったはずですが、模様替え?定期公演といえば、プラスチック椅子か折りたたみ椅子しか知らなかったバリ島ナビは感激!さすが一流と言われるバレルン・ステージならではの心づかい。しかし、その直後「ゲッ!」とひるんでしまいました。前方席に「Reserved(予約済)」のプレートがベタベタと貼られている…やはり今回も旅行会社の団体客に押さえられていたか…。ところが、すぐに案内係のお兄さんがやってきて、「コチラエ、ドウゾ」と、最前列に連れていかれました…何で?詳細は、この記事の最後でご説明しますね。

公演開始前のひととき

会場では準備が着々と進んでいました。お供え物を準備するお母さん、踊り子の冠に花を一個ずつ挿していくおじさん。色々な人が開演に間に合うよう目まぐるしく働いています。
一通りの準備が終わったら、舞台と楽器に御祈りを捧げます。そして客も徐々に増え続け、オフ・シーズンであるにも関わらず、7時になる前に、もうこの埋まり具合。
会場では冷たい飲み物と軽食(チップスしかなかったですが…)が販売されており、カフェ風の別棟(プラスチック椅子ですが…)もあり、お茶をしながら開演を待つこともできます。

公演プログラム

最初に、会場の座席案内でお世話になったマネージャーさんが英語で、続いて、この楽団を率いるオカ氏の甥っ子が日本語で、簡単な公演プログラムの説明を行います。

楽曲 スカール・ゲンドット(インストゥルメンタル)

何度かティルタ・サリを観ましたが、毎回これを聞くと「ティルタ・サリに来たぞー!」と身震いがする、定番のオープニング曲です。グンデルとルバブだけを使った、とても静かなイントロで始まる曲は、まさしくスマール・プグリンガンでこそ味わえる響き、そして曲の流れになっています。

プスパ・メカル(歓迎の舞踊)

楽曲の余韻も終わらぬ中、続けてプスパ・メカルのイントロが始まります。
以前は、NHKの語楽紀行で有名になったユリアティさんがプスパ・メカルを踊っていたのですが、この週は欠席でした。先月ティルタ・サリを観に行った友人から、レゴンのラッサム役が珍しくユリアティさんだったという情報を仕入れたので、もしやレゴンの方にと期待をかけましたが、やはり欠席でした。次回はチャンスに恵まれますように! 代わりに新しいメンバーが二名入っていたので、世代交代がされたのかもしれません。こちら、踊り方も初々しくて可愛らしい中学生くらいの新メンバーでした。

この歓迎の踊りは、とても華やかで、その美しさで夢見心地になります。

レゴン・ラッサム(古典宮廷舞踊)」

これぞティルタ・サリといえる、バリ舞踊の華「レゴン」が踊られます。レゴン・ラッサムはプリアタン王宮に古くから伝わる古典レゴン舞踊で、ラッサム王子とランケサリ姫の悲恋の物語を描いた作品です。
王宮に仕えるチョンドンが登場します。王の世話をする女官といわれています。続いてレゴンの登場。チョンドンが舞台裏に引っ込むと、この二人のレゴンが、ラッサム王とランケサリ姫の役に別れて、ストーリー開始です。
ダハ王国から誘拐してきたランケサリ姫に結婚を迫るラッサム王ですが、婚約者のいるランケサリ姫はその求婚を拒否し続け、怒ったラッサム王は、ダハ王国を相手に宣戦を布告します。
凶兆の鳥といわれるガルーダが、ラッサム王の戦場行きを阻止しますが、王は死を覚悟で、戦場へと向かって行きます。今まで甘い旋律を奏でていたティルタ・サリの楽器が、ここで初めて激しい戦いの様子を表すために強いメロディとなります。

クビャル・トロンポン(座位で踊る舞踊)」

ティルタ・サリ楽団を率いるオカ氏の登場です。
男性でも女性でもない中性的なキャラクターの舞踊で、妖艶な雰囲気を醸し出します。柔らかい女性舞踊の合間に、時々、キビキビとした激しい男性舞踊の動きが混じり、独特の世界を生み出しており、オカ氏が得意とする舞踊だそうです。トロンポンは前方に見える楽器の名前で、途中からこのトロンポンを叩いて演奏しながら踊ります。

レゴン・ジョボグ(猿の兄弟の戦い)」

最初のプログラム解説で「2つめのレゴンは一時代を築いたマエストロによって踊られます」と言われていたレゴンが、このジョボグです。写真左は、オカ氏の妹スリさん、子供の頃からレゴンばかり踊ってきた人です。右は昔オレッグの踊り手として有名だったチョコルド・ラティさん。
猿の姿をしたスバリ王とスグリワ王の兄弟が、諍いを起こし、相手を倒そうと懸命に戦います。しかし、最後には間違いに気づいて、仲直りをする。という有名なストーリーをレゴンにして踊ったものです。
お二人ともさすがマエストロ!先ほどの若手のレゴンとは違い、踊り方が安定しています。踊りが体に沁み込んで、考えなくても勝手に動いている感じ。争いのシーンなど「この人達、私生活でも何かモメゴトがあるの?」と勘違いするくらい、真剣で迫力のある戦いを見せてくれました。

さらに、結構なボリュームがある体型なのですが、いとも簡単に体を反らせて、バリ舞踊のアガム(基礎の動き)をとるので、驚くとともに感心しました。キレイで可愛い若い踊り子を観るのは、それはそれで楽しいものですが、一度くらいは大御所の「これぞバリ舞踊」というシッカリとした真の芸能を観ておきたいもの。そういうときには絶好の機会だと思います。

バロン・ダンス

「タル・プラマナ」という物語を取り入れてバロン・ダンスが行われます。
バロンの登場。見た目よりかなり重たいバロンは二人がかりで抱えて踊っても、ワン・シーン終わるころには汗だくで、目に汗が入って大変だそう。
名物のお猿さん。気分次第で、お客にチョッカイかけることもあるのでご注意。
魔女の手下、美しいシシアン達(左)も、化けの皮を剥ぐとチュルルックという恐ろしい魔物の姿に戻ります。(右)
左に写っているティルタ・サリの名物おじさん、会場準備で花を挿している人と同一人物なのですが、面影がありますか?劇中では、様々なキャラクターが登場し続けます。
ちょっと化粧が不気味な、デワ・シワと、妻のデウィ・ウマ。
美しいデウィ・ウマも最後は魔女ランダに姿を変えます。ランダの呪いで自分の体を刺し貫こうとしてしまう男性集団。クリス・ダンスと呼ばれるものです。
クリスで体を突き刺そうとしていた男性達も、バロンの登場で場が清められて、我に返ります。ここで、物語は無事終了。そのまま、演奏者がステージに移動して挨拶をし、公演終了です。

ところで、下の写真の違いがわかりますか?右手後方のレヨン楽器の奏者がゴッソリ消え、他の楽器も数人の奏者の移動があります。
左が公演開始後、右はバロン劇の際の楽団の様子なのですが、これって演奏者が早退?いえいえ、ティルタ・サリでは、バロン劇のときに演奏者が踊り手になるのです。葉っぱのお化けや、笑いを取っていたお猿さん、怖いチュルルック、全て演奏者が踊っているのです。そう思って劇を見ると、楽しさが倍増しますね。踊りも演奏もこなせるマルチなティルタ・サリ奏者に脱帽!

超難関といわれる「良い席」を獲得する!

恐らく席の予約システムがある公演はここだけではないでしょうか?旅行会社が良い席を全て押さえているという噂があるほどの人気楽団ですが、実際には「予約なしでも最前列席に座れたよ」という話も頻繁に耳にします。その秘密を会場でマネージャーさんに確認してみた所、「リザーブ」が貼られた席の何割かは、予約客ではなく、会場に早く来られる熱心なファンの方にキープしてある席だそう。一時期、予約制のことが問題になり、苦情が絶えなかったので、現在のマネージャーさんが就いてから取り入れた苦肉の策。
その率は、当日の予約数や毎年のバリ島観光客の推移表などを基に計算され、旅行シーズンによって異なるため、毎週何席が1番乗りの客用に確保されているかは言えないそう。運が良ければ2番乗りでも座れる場合も。「6時に来たお客様で、その日用意したキープ分が終了し、6時5分に来たお客様が4列目になる場合もあれば、7時に来たお客様でも最前列に座れることもあり、なかなか予想通りにいきません。まだまだ計算法を試行錯誤中」とか。

ただ、まだ準備中の椅子を並べ始めた会場を早々と訪れ、席だけ取って外出し、公演開始ギリギリに戻る人が続出、予約席との区分が付かなくなったうえ、準備にも支障をきたすことがあったため、現在は、会場の開場後に到着して、公演開始までの時間を「会場内」でのんびりと楽しめる方への席だと説明が付け加えられました。(会場から一旦出るお客様へのキープ席は提供していないそう)あらかじめ予約する席は、既に名前が貼られた決定席。予約したら結果的には悪い席だった、ということもあり得ます。良い席確保のためには、ちょっと頑張って早めに会場へ行ってみましょう。

ところで、最前列のことばかり書きましたが、実は、他にもオススメの良い席が、あちらこちらに散らばっています。

客席と反対側、控え室から見ると座席はこんな感じ

客席と反対側、控え室から見ると座席はこんな感じ

【A】
会場はバリ建築特有の設計のため、柱があちこちに建って邪魔しているようにみえます。柱で隠れているけれど、実際はオススメ席なのが、今回ナビが座ったココ。一番乗りで最前列席を得たものの、写真を撮るには、立って移動したり、動き回りたかったため、場所を変えたのですが、記事内の写真でご覧いただけるように踊り子カブリツキ席でした。正面からでは気づかない腰の曲線や、細かい指の動きまでジックリと判って、すぐそこで踊っている感じがします。ガムラン演奏者の間近で、その手の動きもじっくりと観察できました。見に来ている地元の子供達がステージ脇でワイワイ騒ぎ、おじさん奏者が演奏しながら「コラ!」と怒るものの、数分後には戻ってきて、また騒ぐ。という様子も垣間見られる楽しいおまけ付き席。

【B】
上から見下ろす感じで舞台の全景が見え、欧米人に特に人気という二階席。ど真ん中に柱があるのですが、頭を使って10cmほど横にお尻をずらして椅子に座れば、なんと特等席に大変身。オペラ座のボックス席とまではいきませんが、少し隔離された感じが特別待遇されているような気分になります。ビール片手に楽しむには、もってこいの席。

【C】
お子様連れの方には絶対にオススメしたい「階段」!
通常席では子供の座高だと殆ど見えない舞台も、階段の高さのおかげで余裕を持って鑑賞できます。最後尾なのですが、狭い会場であるため、舞台が遠くて見えないという心配はありません。

【D】
その階段の1段目にも椅子があり、前方客の頭が気にならないうえ、視界が開けて踊り子の足元もとまで見えます。不安定な椅子の置き方で動き回ると少々危険な席なため、大人の方にオススメ。会場に到着して既に5列目まで席が埋まっていたら、迷うことなくこの席へ向かいましょう。

【E】
種類の違う椅子が後方に置かれる場合があります。これも頭半分くらい座高が高くなるので、オススメ。

【F】
隠れていて見えませんが、A席と舞台を挟んだ反対側は、繁忙期のみに解放される座敷席。通常は楽器が置いてあり、神聖な楽器群をまたぐのは御法度であるため、ここには座れません。立ち見が出るようなハイ・シーズンには、楽器の大移動を行い、座布団が敷かれた臨時席になります。
さて、ティルタ・サリが演奏に使うのは、王宮の寝所用として、寝るときに耳に心地よい「スマール・プグリンガン」それとは、まったく対象的なのガムラン楽器に、激しい音の嵐を巻き起こす「ゴン・クビャール」があります。

ここ、バレルン・ステージでは、ティルタ・サリ楽団によるスマール・プグリンガン演奏のみでなく、稲妻の楽器と言われるゴン・クビャール演奏の公演も火曜日(楽団名:グンタブアナ・サリ)に行われているそうです。それぞれ、雰囲気の異なる特徴的な音空間を作り出す、有名なバリの二大楽器編成。もしもチャンスがあったら、両方を堪能してバリ芸能の真髄に一歩近づきましょう!

以上、バリ島ナビでした。

記事登録日:2009-07-27

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2009-06-24

スポット更新日:2010-11-19

利用日
女性 男性

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