バリ島、神様も使うコスメグッズ!

新月と満月には神様に身だしなみを整えていただくためのお供えがあるんです。ジェロマデがバリのローカル・コスメも合わせてご紹介します!

こんにちは、ジェロマデです。
バリ島にはたくさんお祭りやお供えがあるのは、みなさんも既にご存知ですよね。そのなかで、基本的に毎月、新月と満月には必ずお供えをするもので、とても面白いものがあります。それは、新月と満月をお祝いする前に、神様に身だしなみを整えていただくためのお供え、というようなもので、現代で言うとビューティコスメグッズとでも呼べるようなお供えなのです。PEBERSIHAN(ポゥベルシハン)又はPESUCIHAN(ポゥスチハン)と言います。素材は他のお供えと同じく、若いやしの葉で作られています。
通常よりも大き目の四角いCEPER(チィペル)という入れ物に、11種類のものを入れ、お花で飾ったものです。入れ物の中にまた小さい入れ物が7つあります。
その中に左側から順番に、今で言うとシャンプー、洗髪のためのダウン・ダダップ(ざくろの葉)を細かく刻んで乾燥させたもの、リンスのためのハイビスカスの葉、身体を洗浄するボディスクラブのための米の粉を黄色く着色したもの、歯を磨くためのブギノォというポン煎のようなもち米の揚げ菓子を黒く焦がしたもの、ポマードのような頭髪用油と身体のデオドラントのための香油、チャクラを清めるための白檀の木の粉がそれぞれ入ります。
ダウン・ダダップ(ざくろの葉) ダウン・ダダップ(ざくろの葉)

ダウン・ダダップ(ざくろの葉)

米の粉

米の粉

ブギノォ

ブギノォ

香油

香油

白檀の木の粉

白檀の木の粉

それに加え、SIRIH(シレーというタバコ種の葉)を巻いたもの、これは歯の健康を守る作用と、唇を赤くする作用があるそうです。そしてやしの葉を櫛と鏡の形に模ったものをそれぞれ飾ります。右が鏡。人の顔が写るので目と眉毛があります。左が櫛。そしてPADMA(パァドゥマゥ)というやしの葉で作ったかんざしを加え、チャナンというお花を飾りつけたお供えを添えてできあがりです。それぞれの地域や家庭で多少の差はあるようですが、要は神様のお風呂セットというか、コスメグッズなのです。

このお供えのように、バリでは古くから神様も人も自然の素材を使用して、身体を清め健康に美しく保つようにしていたのでしょう。
SIRIH(シレーというタバコ種の葉)

SIRIH(シレーというタバコ種の葉)

PADMA(パァドゥマゥ)

PADMA(パァドゥマゥ)

やしの葉を櫛と鏡の形に模ったもの

やしの葉を櫛と鏡の形に模ったもの

できあがり

できあがり


それでは、今、バリではみんな、どのようなものを使用し、美と健康に気を使っているのでしょう。ここで、現代のバリで一般的に使われているコスメグッズをお供えと同じ順番にご紹介したいと思います。

まずはシャンプー。パンテーン、ダブなどのように世界中どこでも買えるようなものが若い女性には人気です。癖毛の人が多いインドネシアの女性達、常に女性というのは自分にないものを追い求める習性なのか、これらのシャンプーは髪の毛がストレートに仕上がるというテレビコマーシャルの宣伝効果が絶大で、売れ筋商品になっています。
こちらのセルソンというシャンプーはインドネシアでは定番商品のようなもので、フケやかゆみに効果があるそうです。蒸し暑い気候のせいか、頭皮に悩みを持つ人が多いようです。小さい子供など髪の毛に虫がたかってしまう場合もあるので、そんな時にもこのシャンプーを使うと良いのだそうです。若者には余り人気はないようですが、インドネシア製のコスメもがんばっています。
ダウンワル・リンス入りシャンプー。これはお供えにもありますが、ハイビスカスの葉エキス入りです。ハイビスカスの葉は細かく切り刻むと、汁がネバネバとしています、それが髪を乾燥から守り、枝毛などのトラブルから守ってくれる作用があるのだそうです。
ウラン・アリンシャンプー。エクリプタアルバという植物のエキスを配合した、髪の毛を黒く保つという、真っ黒い液体シャンプーです。インドネシアの太陽は強烈で、放っておけば、焼けて髪の毛の色が赤茶色に変色してしまいがちです。日本では今や黒い髪は重たくなりがち、というのでカラーリングをするのは当たり前になっていますよね、でもバリではまだ髪を染めるのは白髪染め程度、若さの証は黒く艶やかに輝く髪の毛なのです。
ムランシャンプー。こちらは稲を煮た汁とジェルック・ニピスという酢橘のような柑橘系の実のエキスを配合したもので、頭皮のかゆみやフケに効果があるのだそうです。バリではシャンプーなどなかった昔、アイルムラン、稲の煮汁で髪を洗浄していたそうです。
ニラム石鹸。自然の手作り石鹸です。ニラムという植物エキスを配合しています。インドネシアではニラムという植物は髪に良いと伝統的に伝えられているそうです。石鹸で髪を洗うのはとても良いと聞き、ジェロマデも試してみました。しかし既に髪の毛が健康な状態ではない場合、(パーマをかけているとか、カラーリングで痛んだ髪)慣れるまではかなり悲惨な状態を我慢しなくてはなりません。洗い上がりはごわごわで櫛も通らないような状態に。でも続けて使っていると、リンスもいらないくらいのすっきりとした洗いあがりになるのだそうです。
サンシルクというシャンプーのシリーズもバリでは人気商品です。これは一回分ずつ使えるタイプで、黒髪用とソフトな仕上り用。お供えではハイビスカスの葉を使用していたリンスですが、バリは湿気が多く、乾燥して困るということはないので、リンスの習慣はあまりないように思います。
その代わり、クリームバスという頭皮マッサージのトリートメントがより一般的です。サロンなどでもお安くできますが、スーパーでも気軽に購入できて、色々な種類があります。アロエ、ニンジン、ほうれん草やレモンなど。朝鮮人参なんていうのもあります。ちなみに、朝鮮人参は毛根に効くと言い伝えられているのだそうで、抜け毛防止に効果があるようです。使用方法は、洗髪後の髪に適量を付けて、マッサージします。その後、サロンなどではスチームを使用しますが、自宅では蒸しタオルを巻いてそのまま10分から15分、その後洗い流します。週に一度くらいすると良いそうです。日本ではトリートメント代わりに使用すると丁度良いでしょう。
洗髪が終わったら、次は身体を洗います。昔のバリの生活には石鹸はなかったので、一般的には、ルルールと呼ばれるスクラブを使用していたようです。お供えではお米の粉をウコンで黄色く着色したものを使用しています。多くが米粉をベースに薬草などの植物を混ぜたものが多いようです。家庭で自家製を作る人もいますが、市販されている製品も豊富で種類も多くて便利です。

定番的に人気なのはこのルルールコチョッ。コチョッとは、混ぜるという意味で、液体と粉末のるスクラブがひとつになっていて、使用する前に振って混ぜるタイプです。ククイノキという植物の葉とウコンなど、インドネシア秘伝の美容レシピで配合されたスクラブは、角質や皮膚の汚れを落とし、清浄で、滑らかな芳しい肌になるそうです。使用法は、混ぜた液体を身体全体にすり込むように塗って、あかすりのような感じでゆっくりこすってゆくと、液体が蒸発し、粉末に肌の汚れが吸着します。その後、お湯で洗い流します。かかとやひじなどは入念にこするとすっきりとしたつるつる感がより味わえるかと思います。
こちらはクリームタイプ。バンクワンというたこのきの植物の根は、生をサラダ感覚で食用としても用いられますが、エキスは美白に効くそうです。インドネシアではこのバンクワンを何百年もの昔からジャワのクラトン王家のお姫様方が愛用し、白く輝く肌を保ってきたという伝説もあり、信憑性も格別です。
バンクワンの美白スクラブで、石鹸入りです。
こちらのクリームタイプのスクラブはムンクドゥという八重山あおきという根皮から赤色染料をとる植物の実のエキスが入っています。この実はガンにも効くそうで、民間療法としてエキスを飲む人もいますが、お肌にも良いそうで、健康でなめらかにする働きがあるのだそうです。粉末タイプのルルールも種類が豊富で、小分けに袋に入っているので、使いきれる分を調整できるので便利です。粉末に水を少し混ぜ、ペースト状にしてから全身に塗り、少し乾いてきたらやさしくマッサージするようにこすり、その後、洗い流します。
ルルールヴィヴァ、粉末の粒子も細かく、香りも昔の化粧品のような香りです。肌を滑らかにし、入浴後、爽やかな香りに包まれるのだそうです。
ルルールマリワルニ、こちらはまるでカレー粉のような色です。香りもカレーの強烈な匂いがします。粒子も少し粗いような感触。効能は、体臭を軽減する、肌を乾燥から守る・・・そして肌を滑らかにし、黄色っぽい肌にする・・・と。確かにこの見るからにカレー粉のような粉を付ければ黄色くなること間違いなしです。
マスシナンギリン、伝統のレシピで薬用の根やウコン、クムニンという植物の葉、この木は黄色い色をしていて、短剣の柄を作るのに使用されるのだそうです。これもマイルドなカレー粉のようです。香りもインスタントのカレーラーメンの匂いです。どちらも、ウコンの粉が入っているので、白いお風呂場で使用すると、床がまっ黄色になってしまいますので、ご注意下さい。
貝殻のスクラブというのもあります。こちらは象牙色の粉末で香りは漢方薬のような匂いです。かなり粒子があらくザラザラしているので、あまり無理にこすらないほうが良いかもしれませんね。
歯を磨くタイミングは人それぞれだと思いますが、お供えの順番だと、身体の洗浄後に歯磨きです。黒焦げの揚げ菓子を使用して歯を磨く人は今のバリでもあまりいないでしょう。一般には爽やかなイメージのブルー系、グリーン系のパッケージが多いようです。キシリトールやミルクカルシウム入り、口臭予防など。
こちらはダウンシリという咬みタバコに使用される植物の歯磨きジェルです。この植物のエキスは抗菌作用が強く、歯の健康に非常に良いとインドネシアでは太古の昔から、使用されてきました。
歯磨きの後は、整髪です。チゥムチュマンヘアーオイル。やし油をベースにハーブなどが配合された頭髪用オイルです。頭皮、毛根を健やかに保つのだそうです。
どちらも髪や頭皮を健やかに保つオイルです。バリでは年齢を重ねた女性が長い髪をそのまま下ろしているというのは、あまり一般的ではありません。殆どが結い上げています。結い上げた髪を黒く艶やかに保つ為に、バリの女性達は好んでオイルを使用するようです。
仕上げは香りです。お供えでも使用されているように、香りの良い花々を乾燥させ抽出したオイルを体臭防止として昔から使用されてきたようです。現代でも、ジェロマデの義母は香油を作るといって軒先にフランジパン二の花を天日干しさせています。
インドネシアは亜熱帯気候のせいか、体臭が強い人が多いのではないかと思います。そして、それを非常に気にしている人も多いようです。スーパーなどでのデオドラント系の商品の品揃えはもの凄い数です。有名ブランドの偽ものの香水や、ティーン向けのコロン、ベビー用のコロンまであります。インドネシアの男性用デオドラント製品の需要は世界でも抜きん出ているのだとか。それほど臭い?というわけではないでしょうが、とても気を使う人が多いのでしょう。確かにスーパーに並んでいる品を見ると、男性向けのもののほうが多いように思います。

人間である私たちでさえ、身体を健康に、清く美しく保とうとするのですから、神様に対してもきちんとそういうお供えを捧げましょう、そんなバリ人の気持ちは当然といえば当然かもしれません。でも、それほどにも神様と自分との距離が近いと感じているからこそ、毎月必ず満月と新月に欠かすことなく続けられる。神様は天高く遠くにいる存在ではなく、我が身のすぐそばに、我が身の内に常に存在しているもの、そう信じ感じているからこそ、自らがするように、手間暇をかけ、当たり前のように続けていられるのだと思います。

以上、ジェロマデでした。

その他情報

レポーター: ジェロマデ  趣味: 義母を連れてお寺参り、ヨガ コメント: 気が付けばバリ暦14年 現在: 自分の前にドド~ンと広がっているバリ人街道をまっしぐらに進むことをやっと受け入れられるようになる。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-07-13

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