バリの伝統芸能基礎知識

数えきれないほどあるバリ舞踊の演目の中から「これを見ておけば」という基本的な舞踊をご紹介しましょう

アパ・カバール、バリ島ナビです。アートは鑑賞の対象だとか特別なもの、と思ってしまう日本人のナビには驚きなのですが、バリ島では、絵画、彫刻、舞踊や音楽などなど、芸術や芸能といったものが、ごく普通の日常生活の中に存在しています。というのも、芸術すべてが神様のための捧げものである、という考え方があるため。信仰心の篤いバリ人の生活が宗教とは切り離せないように、芸術も日々の生活から切り離せない位置にあるんですね。

そんな島中にあふれている芸術の中でも、旅行者が一度は足を運ぶであろうというのが、バリ舞踊の公演。毎晩行われているバリ舞踊の定期公演ですが、とにかく何を見てよいかわからない!というのが、本音。ナビも遊びに来た友人達を案内する時には、結構悩みます。現在(2011年7月)ウブドで定期公演を行う楽団は、ほぼ似たような内容になって来ており、演奏などでも特に抜きんでた公演というのを思いつかないので、最近は「渋めの芸術を好む友人なら、この舞踊のある、あの楽団」「子供連れの友人なら、あの舞踊をやっている、この楽団」という風に、演目で選んで連れて行く事も多々あります。皆さんも、どうぞ鑑賞の際の参考にしてくださいね。

バリ舞踊の種類 ワリ、ブバリ、バリバリアン

私たちがバリで目にする機会がある舞踊は、バリバリアン舞踊と言われる種類の舞踊で、観客と神様のために踊られます。これ以外にも、寺院で神様だけに向けて踊られるワリとブバリという種類の舞踊があります。
公演で踊られているバリバリアン舞踊は特に踊りの種類が多いといわれ、数えろと言っても無理なくらいに無数にあるそうです。また、中には舞踊オンリーではなく、歌いながら踊るものや、寸劇を交えるものもあり、バラエティに富んでいます。
歓迎の舞踊
ほとんどの定期公演の演目に入れられている、定番のバリ舞踊がウェルカム・ダンスです。
プログラムの中では、まず最初に踊られます。写真は、手に花を持って踊り「いらっしゃいませ!」という意味で花を撒くペンデット舞踊。他にもガボール舞踊や、パニャンブラマ舞踊という名前の付いた、ガムラン音楽と衣装が違う踊りもたくさんあります。
ペンデット舞踊

ペンデット舞踊

歓迎のプスパ・サリ舞踊

歓迎のプスパ・サリ舞踊

男性舞踊
男性舞踊を代表するのは、何と言ってもバリス舞踊。戦いへ向かう戦士の心情を表現した舞踊です。激しい動きと、目をクリクリ動かして踊るのが特徴です。バリ島の男の子が一番最初に踊りを習う時は、この舞踊から入るので、ほとんどの公演では小さな男の子が元気に踊る姿が見られます。
天才少年によるバリス

天才少年によるバリス

愛くるしい男の子

愛くるしい男の子

古典の宮廷舞踊
レゴン・ダンスは、古典の宮廷舞踊で、女性によって踊られる舞踊です。近年の舞踊はキラキラと派手な物が多いのですが、古くから伝わる舞踊という事で、レゴン・ダンスでは、落ち着いたシック衣装が使われます。冠の左右に、白い花が刺さった、長袖の衣装を着た衣装で2人(またはそれ以上もある)で踊っていたら、それがレゴンです。少女たちによって踊られる、ラッサム王とランケサリ姫の悲恋の物語を描いた「レゴン・ラッサム」や、大人によって踊られる猿の王の物語「レゴン・ジョボグ」など、レゴン・ダンスの中にも種類がたくさんあります。
少女のレゴン

少女のレゴン

少女のレゴン

少女のレゴン

近代の創作舞踊
女性による優雅な古典舞踊だけでなく、近年つくられた動きの派手な舞踊も、公演の雰囲気を変えるために加えるグループが多いです。
極楽鳥の求愛を描いたチャンドラ・ワシ舞踊や、稲の女神を描いたチリ・ナヨ舞踊などがあります。
極楽鳥の踊り

極楽鳥の踊り

インド風の舞踊

インド風の舞踊

子供による舞踊
小さな子供によって踊られる、可愛らしい集団の舞踊もあります。うさぎのダンスや、鹿のダンスなど、パキパキして元気な踊りです。お子さんと一緒に旅行をされる方にお勧めです。
可愛い蝶々の舞踊

可愛い蝶々の舞踊

男の子による農夫の舞踊

男の子による農夫の舞踊

仮面舞踊
演目に「トペン」と書かれていたら、仮面をつけた舞踊のことです。
バリに古くから伝わる伝統芸能で、老人の仮面をつけたトペン・トゥア、悪魔の化身のジャウック、王様をあらわしたトペン・ダレムなどがあります。
表情が見えない分、踊り手の旨い下手が顕著に現れる舞踊です。
老人のトペン・トゥア

老人のトペン・トゥア

悪魔なのに愛嬌あるジャウック

悪魔なのに愛嬌あるジャウック

中性的な舞踊
女性が男性の恰好をして男っぽく踊ったり、逆に男性が女性っぽい仕草を交えて柔らかく踊る舞踊があります。女性が活発に踊るのは格好良いのですが、男性がシナを作る舞踊は、日本人を連れていくと、わりと好き嫌いが別れます。
女性が男性になるタルナ・ジャヤ

女性が男性になるタルナ・ジャヤ

男性の優型クビャール

男性の優型クビャール

男女ペアで踊る舞踊
男性と女性による舞踊。蜂の求愛の様子を踊りにしたオレッグ・タムリリンガン舞踊などがあります。
ペア舞踊の元祖オレッグ・タムリリンガン

ペア舞踊の元祖オレッグ・タムリリンガン

男女で踊る劇

男女で踊る劇

バロン・ダンス
これもバリ旅行のパンフレットでは定番のバロンです。
踊りというよりも、物語形式にしたてた舞踊劇なので、長い時間かかりバロン・ダンスだけをひとつのプログラムにしてある所が多いです。
獅子舞みたいなバロン

獅子舞みたいなバロン

魔女の手下など色々な役が登場します

魔女の手下など色々な役が登場します

ここまで読めば、あなたもバリ舞踊通?!

いかがでしたでしょうか?バリ島旅行中に一番目にする機会が多いバリ舞踊を順番に書いてみました。これ以外にもケチャ・ダンスやジャンゲール歌謡劇などといった様々なものが、ウブド近郊で毎晩行われています。芸能の村といえば、ウブドとプリアタンが有名ですが、少し離れた場所でも観光用にダイジェスト版がみられます。郊外にある石彫で有名なバトゥブラン村では、午前中に観光用バロン・ダンスを行っています。また、最近(2011年5月)日本のドキュメンタリー番組にも出ていた古典芸能の村バトゥアンでは、バリ最古のガンブー舞踊劇という芸能通好みの舞踊劇を定期公演として行っている楽団もあります。
ケチャ

ケチャ

巨竹楽器ジェゴグの演奏による舞踊

巨竹楽器ジェゴグの演奏による舞踊

幾つかの公演を廻るうちに、バリ芸能の奥深さを味わっていただけると思います。まずは定番のバリ舞踊をじっくり見て、それから別の芸能を見に行って、いろいろな違いを確かめてください。
定期公演の会場に座っていると、近くの席の旅行者にバリ芸能のうんちくを語ったり、自分の贔屓のダンサーの宣伝をしたりして、開演までの待ち時間を過ごしている方が結構おられます。
あなたも、この記事に書いてある舞踊を全制覇してバリ舞踊フリークになったあかつきには、連れのお友達に「思いっきり!」舞踊ネタを熱く語って、バリ芸能ファンを増やしてくださいね。以上、バリ島ナビでした、サンパイ・ジュンパ~!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-09-15

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