1&2月のバリ島 【2013年】

1~2月のバリ島はどうでしょう?

アパカバール?バリ島ナビです。
スラマッ・タウン バル!雨季のバリ島から2013年の新年のご挨拶を申し上げます。
しっとりとした空気に包まれたバリは、今、雨季本番を迎えています。まっ青な空と、突然のスコール。天気の変化がバリ島の雨季の特徴。空気は湿り気を含んで、木や草花の香りが濃密に立ち込める季節です。
果物好きにはたまらないこの季節。雨季においしいトロピカルフルーツも市場やスーパーマーケットにますます出回り、お値段もどんどん安くなるから嬉しいですね。
雨に降られることは確かに多いかもしれないけれど、だからこそ、まさにバリ島らしさを堪能できるこの季節のバリ。それでは2013年1月から2月にかけてのバリ島、ご紹介していきましょう。

バリ島の気候と天気


【気温】
1月 最高33.0℃ 最低24.1℃ 
2月 最高33.4℃ 最低24.2℃ 

【降雨量】
1月 345mm 平均降雨日数27日
2月 274mm 平均降雨日数22日
雨季本番を迎えたバリ島。
けれど雨季といってもバリ島では、一日中雨が降り続けるということはめったにありません。午後1時間か長くても2時間の強いスコールで終わることがほとんど。朝は太陽が照りつけて、雨季とは思えないようなまっ青な空が広がっているのですが、太陽が真上に来る頃から雲がどんどん広がって行った、と思う間もなくどしゃ降りの雨。そして1時間ほどのスコールのあとはまた晴れやかな空が広がる、といったダイナミックな天気の変化がバリ島の雨季の特徴です。
そのためどうしても雨には、計画をたててもその通りに行かないことが多くなります。この時期にバリ島に旅行にいらっしゃる方は、臨機応変な対応ができるように、計画には少しゆとりを持たせておいた方がいいかもしれません。たかがスコール、と思われるかもしれませんが、実際この季節のスコールは、道路を走っていて5メートル先が見えなくなるようなどしゃ降りになることもあれば、スコールのあとの洪水で、道がストップしてしまうこともあるんです。特に、バリ暦で8番目の月であるサシ・カウルー、この月は毎年「嵐のように強い雨と風が多い」と言われる月ですが、今年は1月12日から2月10日までがこのサシ・カウルーにあたります。
けれど、「恵の雨」と呼ぶにふさわしい、水と緑の美しいバリ島を作ってくれているのも、この雨。太陽の光と恵の雨を受けて、果物の実りや花々の香りなど、美しいバリを味わえるのもまたこの季節の特徴です。
スコールに降られそうな時間には、エステの予約を入れる、とか、お気に入りのバスグッズを用意してホテルでバスタイムにしてしまう、とか、休暇の楽しみ方はいろいろありますね。どうぞ雨季の美しいバリを、「雨季ならでは」の方法で、満喫していただきたいと思います。

バリ島カレンダー

バリの暦
■2013年1-2月の満月:1月26日、2月25日
■2013年1-2月の新月:1月11日、2月10日

バリ暦七番目の月「サシ・クピトゥ」は1月11日まで。1月12日から2月10日まではバリ暦八番目の月「サシ・カウルー」となります。2月11日からは、バリ暦九番目の月「サシ・クサンガ」が始まります。

1-2月のインドネシアの祝日
■1月1日:ニューイヤーズデー
■1月24日:ムハンマド生誕祭
■2月10日:イムレック(中国暦新年)

1-2月のバリ島の祝日
■1月10日:シワラトリの日
■1月12日:サラスワテイの日
■1月13日:バニュ・ピナロの日
■1月14日:ソマ・リブッの日
■1月15日:サブ・マスの日
■1月16日:パゲルワシの日

1月1日のバリ島は、「新年」という雰囲気は特に感じられません。というのも、バリ島の「新年」にあたるのは、毎年西暦3月に廻ってくる「ニュピ」。そういうわけで、1月1日というのは「西暦2013年のニューイヤーズデイ」。特に新年を迎えるにあたっての特別の行事やご馳走などは、バリではありません。
多民族国家インドネシアでは、それぞれの民族、宗教によって「新年」も異なってきます。2月10日に廻ってくるのが、「イムレック(中国暦旧正月)」チャイニーズニューイヤーです。中国系の人たちはこの日をはさんで長めの休暇に入り、バリ島にも、正月の休暇で訪れる人たちが多くなります。最近はバリでもこの時期は、お店の飾りつけなども、中国色を強めに打ち出したりするところが増えてきたようです。
さて、1月のバリ島では、バリヒンドゥーに関連した祭日が次々にやってきます。
バリ7番目の月である、サシ・クピトゥの新月の前夜は「シワラトリ」と言われ、バリヒンドゥー教徒は現在、そして前世を含めた過去の行いを反省し、神に近づく、悟りを開くための瞑想、そして断食を行う日とされています。「12時間の沈黙と36時間の断食」が、本来のシワラトリの正しい迎え方らしいのですが、高僧を別として、現在そこまでやっているバリ人はほとんどいないよう。でも、信心深い人たちはこの日、日が暮れてから沐浴、正装してお寺へ詣で、祈りを捧げます。
続いて1月12日には「サラスワティの日」がやってきます。この日は、学問と芸術の女神サラスワティに感謝を捧げる日。インドを由来とするこのサラスワティの女神様は日本では「弁財天」として知られています。バリではこの日、人間は本を読んだり書き物をするのは、お休み。本や書物の類、ノートや教科書にも、お供え物が捧げられます。学校はお休みになりますが、子供たちは正装で登校し、学問の女神サラスワティに祈りを捧げます。
翌日1月13日は「バニュ・ピナロの日」。サラスワティの女神の恩恵を受けるために、人々はからだを浄めます。早朝に、海、もしくは川でマンディ(沐浴)をすると、サラスワティの女神の聡明な美しさにあやかれるとも言われ、この日人々はこぞって、海もしくは川にマンディに出かけます。この日家庭では、ナシ・クニンというターメリックで黄色く色づけしたご飯を炊いて家族で食べる習慣があります。
続いて1月14日は「ソマ・リバッの日」。この日はデウィ・スリという「稲の女神」に感謝を捧げる日です。すべての人がデウィ・スリの恩恵を受けることができるように、つまりは稲の実りを受け取ることができるよう、食べることに不自由しないようにと、米びつや米蔵にお供え物を捧げます。
1月15日は「サブッ・マスの日」。この日は金や銀の装飾品、そしてお財布などにお供え物を捧げます。
そして、1月16日は「パゲルウェシの日」。この日はバリ・ヒンドゥーにとって、ガルンガン、クニンガンに次いで大事な祝日とされています。この世の中のすべての「バランス」が保たれ、世界の調和が神によって守られるようにと、供物を家寺に供え、神の加護を祈ります。
このうちサラスワティの日とパゲルウェシの日は、バリ島では休日となります。ソマ・リバッの日やサブ・マスの日は休日ではありませんが、各家庭単位では、特別な供え物を用意します。とはいえ、寺院祭礼のように華やかな行列がでるわけでもなく、踊りやガムランの音がにぎやかなわけでもありませんから、旅行にいらした方の目には普段と変わらない日のように感じられるでしょう。それでもバリ島の街の中を歩いていれば誰でも、道端に置かれたお供え物や、どこからともなく漂ってくるお線香の香りなどから、何気ない日常の中のあらゆることに感謝するバリ人の信仰心を、感じ取ることができるのではと思います。

サラスワティの日からパゲルワシの日までの期間は、バリの人たちにとって、人間が生きていくために必要なもののひとつひとつを特に思い出して、それらを与えてくださる神様に感謝を捧げ、そしてこれからもこれらの恩恵を受けることができるようにと願う期間です。面白いのは、「聡明な知恵と美しさ」のように、抽象的ながらも誰もが「なるほど」と思うようなことがらだけでなく、「食べ物やお金」といった、いたって具体的で世俗的なことも、「大事なこと(もの)なので与えてください」と神様に祈るところ。「信仰」というものがいまひとつ感覚としてとらえにくい我々日本人は、「宗教」というとどうしても「清廉潔白」といったイメージを抱きがちなのですが、バリ人の宗教観はもっとずっと日常に近いような気がします。神様だけでなく、悪霊にまでお供えものをする人たちです。善も悪も存在を受け入れる。そしてバリの人たちにとって理想的な状態というのは、そういったすべてが、過不足なく調和して、バランスとハーモニーを保っていること。サラスワティから続く一連の特別の供物の日々の最期にやってくる、パゲルワシの日。この日はまさに、その「調和」のための祈りの日です。

バリ島知っ得情報!

道を歩いていると、どこからともなくお線香のいい香りが漂ってきます。バリ島では、あちらでもこちらでも、道を歩けば見かける「お供え物」。お供え物にお線香を供え、聖水をふりかけて祈る人の姿は、バリへいらした方なら街中で、必ず一度は見かける光景でしょう。街中だけでなくても、どんな高級ホテルに泊まっても、またリーズナブルプライスの民宿のようなお宿に泊まっても、どこでも必ずそんな光景が見られるはず。
人口の90%がバリヒンドゥー、と言われるバリ。ヒンドゥーといえばインドが本場ですが、バリヒンドゥーはインドのヒンドゥー教とは少し違う、独自のスタイルを確立しています。ヒンドゥー教がジャワを経由してバリ島に伝わる以前から、バリ島にあった土着の「精霊信仰」や「祖先信仰」と結びつき、それらの影響を受けながら現在のバリヒンドゥーができあがりました。バリ島のいたるところで見かける日々のお供え物、これもバリヒンドゥー独自のものです。今回は、この「バリ島で見かけるお供え物」と、そのお供え物に込められたバリの人たちの宗教観、世界観について、少しだけお話ししてみたいと思います。
まずはこのお供え物についてですが。「あ!踏んじゃった!!」「蹴飛ばしちゃった!!」と焦ったことはないでしょうか。
道端に置かれた、お花やお米や果物や、時にはお菓子なんかがちょこんと盛られてとても可愛らしいお供え物を、知らずに踏んでしまった。蹴飛ばしてしまった。「ごめんなさい!!」と、恐縮する方を見かけることがあります。神様にお供えしたものを足蹴にするなんて「ばちが当るんじゃないか?」なんて思ったりしているかもしれませんが、そんな心配はいっさいご無用。これ、別に蹴飛ばしちゃっても踏んづけちゃってもいいんです。って、でも、なにもわざとやることはありませんけれど。
このお供え物。実はふたつの種類があります。「神様に捧げるお供え物」と「悪霊に捧げるお供え物」と言っても、どこが違うということはありません。姿かたちはまったく同じ。ただ、捧げる対象が違うだけのこと。
それをどうやって見分けるかと言えば、簡単に言ってしまえば、「高いところに置くお供え物は神様に」「地面に直接置くお供え物は悪霊に」捧げたものと見なします。バリでは、悪霊というのは地面の下にいるとされます。その悪霊に「どうぞ静かにしていてください」「でてきて、邪魔をしないようにしてください」という意味で捧げるのが、この「地面に直接置くお供え物」。
地面に直接置くお供え物の場合、お供えしたそばから鶏や、犬などがやってきて、上においたお菓子やご飯をつついていることもあります。でもそれも別にどうということはないんです。大事なのは「お供え物をする」「忘れずに心にかけている」という行為にあるわけで、そのあとのお供え物に価値があるというものではないのです。だから犬が食べようが、鶏が突こうが、うっかり足で蹴飛ばそうが、問題はないんですね。
「高いところに置くお供え物」これは神様に捧げたお供え物です。ガルンガンやクニンガンなどの大きな祝日には、果物やお菓子を高く積み上げたお供え物を用意しますが、これらは神様に捧げたあとで、人間が「お下がり」としていただきます。悪霊に捧げたお供えは、犬や鶏が食べ、神様に捧げたお供えは、人間がいただくわけですね。
道を歩いていると、特にお供え物が多く置かれている場所がいくつかあります。たとえば、交差点、それから川のそば、橋がかかっているところなど。バリの交差点は真ん中に祠のようなものが建っていたり、大きな石像が置いてあったりします。そしてそこには、いつもたくさんのお供え物が置かれています。交差点という場所は事故が起こりやすい場所なんですが、これをバリの人たちは、「道と道が交差する部分は悪霊が好む」と言い、特に念入りにお供え物を置きます。川のそばも同じことで、川には精霊が棲む、と言われているんですね。
こんなふうにバリの人たちは、神様だけじゃなくて精霊や、時には悪霊とも、常に一緒に暮らしている、というわけです。信仰心篤い人々、というと、我々日本人はつい、清廉潔白で近寄りがたいイメージを持つことが多いのですが、バリの人々の信仰はけしてそのような「高みから見下ろす」ものではないように感じます。バリの人たちは、この世の中に善と悪の両方が存在していることを知っているからこそ、神にも悪霊にも供え物をします。同じように人間の中にも善と悪が存在していることを知っているからこそ、善だけを良しとするのではなく、悪とのバランスをとることを心がけます。それを「お供え物」という行為の中で、日々実践しているんですね。

バリのお供え物は基本的には一家の主婦の手作り。材料になるのは、若い椰子の葉、バナナの葉、色とりどりのお花の花びら、パンダンという植物の葉っぱ、ご飯などなどバリの生活の中で普段から身の回りにあるものばかりです。一番小さくて基本的なお供えものは、バナナの葉っぱを四角く切ったものの上に、炊き立てのご飯、ターメリックで黄色く色付けしたココナッツを載せたもの。街中などでよく見かけるお供え物は、椰子の葉を切って編んだ篭の中へ花びらや葉っぱやご飯を入れたもの。これらお供え物の作り方や載せるものの種類は、地域や、おうちによって微妙に異なることも多く、女性の場合はこのお供え物を作れることが、一人前になった証。結婚すると誰もが、お姑さんに習いながらその家の供物を覚えていくんです。基本的な「篭」の編み方などは、学校でも習います。インドネシアの学校には「宗教」の時間があり、小学校4-5年生になると、お供え物の作り方、簡単な篭の編み方などを生徒たちは学校で習います。
とはいうものの。これも最近では、一家の主婦が外で働いているということも多く、朝から手作りのお供え物を用意することが難しい家庭も増えてきました。最近は市場で「出来合いの」お供え物を買ってくる人も多くなりました。それでもこのお供え物の習慣はバリの人々がずっと大切に守り続けてきたもの。たとえ時間がなくて普段は買ってきたお供え物で済ませていても、いざという時にはきちんと手作りしますし、この習慣がなくなることはないでしょう。
お供え物を捧げる時間は朝、炊き立てのご飯を、人間が頂く前に供物として供えるのが理想的なのですが、最近は仕事を持っている主婦も増えましたし、朝はなかなか忙しい。そういう場合はお供え物をするのが、夕方になっても構いません。ただ、夜や、昼間の12時をまたぐ時間帯は、お供え物をするにはふさわしくないようです。
毎日毎日作っては捧げ、捧げては捨てるこのお供え物。お金も時間も手間もかかります。現代の日本人の目から見れば、「ムダ」に思えなくもない、「合理的じゃない」と思う人もいるかもしれません。けれどそれは「合理的なことが優先される」社会に生きている人間の価値基準でものごとを見た場合の話。バリ島はそれとはまた違う価値感の中にある社会なのです。こうして「自分以外のことに対して」時間とお金と手間をかけるということは、バリの人たちの心の中に「余裕」を生み出しているような気がします。

道端や、ホテルの庭やテラスや、レストランのテーブルの上や、いたるところで見かけるお供え物。いたるところに精霊が宿るとされるバリの宗教観は、神道の「八百万(やおよろず)の神」に通じるものがあるようにも思います。人間だけでなく、人間を取り巻くこの世の中のすべてのものに心をかけ、人間を含めたすべてのものの調和を願うための、バリの「お供え物」。この島を訪れた人々が、まるでずっと以前からこの島を知っていたような懐かしさを感じるのは、悪霊さえもその存在を認められているバリヒンドゥーのおおらかさ、そんなところにもあるんじゃないかな、とナビは思うのでした。道端に供えられた小さなお供え物、そこには、バリの人たちが大切にしてるものがたくさん詰まっているんです。

今日はバリ島の「お供え物」についてお話いたしました。それではまた、次回は3月―4月のバリ島でお目にかかりましょう。サンパイ・ジュンパ~!!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-12-26

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