ウブドに来たらぜひ足を運ぶ価値あり!豊富なバリ絵画コレクションを誇る美術館。
通りから見える看板
こんにちは、バリ島ナビです。
今日はウブドのサンギンガン通りにあるネカ美術館にやって来ました!ウブドの中心部からは若干離れていますが、おそらくウブドで一番有名で豊富なコレクションを誇る美術館として知られています。お隣にはウマ・ウブド、正面はスペアリブで有名なヌリーズワルンがあります。
入り口を入ると右に受付があります。入館料は一人4万ルピア。チケットと簡単なパンフレットをもらいます。何館あるのか聞いてみたら、6館あるとのこと。じっくり見ようと思うと2時間くらいは必要なのかも知れません。
実は中に入ったときに突然大雨が降り始めました。雨季のウブドではお昼過ぎから夕方にかけてスコールが珍しくありません。とにかくシャワーのようにすごい勢いで地面に叩きつけるような雨が続きます。さて、雨は残念ですが気を取り直して芸術鑑賞を楽しみましょう。
第1展示館はバリの伝統絵画から。細かく分けると年代・地域別にカマサン、ウブド、バトゥアンスタイルに分かれるようです。観光スポットとしても人気のネカ美術館ですが、特に日本をはじめ、アジア系の観光客が多く訪れるようです。
カマサンスタイルとはバリ東部のクルンクン県を中心に受け継がれた手法で、ヒンドゥー教の物語が描かれています。上の『アビマニュの死』は『マハーバーラタ物語』のクライマックス場面を描いたものだとのこと。他にもヒンドゥー教の2大叙事詩である『ラーマヤナ物語』に基づいた絵もありました。ワヤン・クリット(影絵芝居)は主にこれらの物語を表現しているとのことです。特徴的なのは顔がすべて横顔であること。当時の絵画は宗教的な意味合いが強かったことがうかがえます。
伝統的なカマサンスタイルもウブドでは徐々に西洋の画法が取り入れられ、明るい色合いや遠近法、柔らかな曲線と立体感に富んだ表現法として発展していきました(ウブドスタイル)。ウブドから少し離れたバトゥアンでは西洋絵画の影響はあまり受けずに独自のバトゥアンスタイルが生まれました。テーマもこれまでのヒンドゥー教に関係するものから日常生活や踊り子などを扱うように変化していきました。
観光に栄えるバリ島が面白おかしく描かれている一枚なのですが、同じキャンバス上にバリ人の日常や観光客が忙しくカメラで写真を撮る様子などを見ることができます。
ジョゲッと呼ばれる男女の踊り
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色使いと遠近法がウォルター・シュピースの影響を受けているものを思われます。
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さて、外はまだ大雨ですが第2展示館に移動しましょう。1階は現代アートとヤングアーティストスタイルの展示です。
色使いやテーマが西洋画家ゴーギャンの影響を受けたと思われる作品も見受けられました。
ヤングアーティストスタイルはアクリルを使用し、くっきりとしたアウトラインで塗り絵のように濃淡のない色使いが特徴です。カラフルな色合いの中に、バリの日常や風景が細かく画面全体を埋め尽くすようにと描かれています。子供っぽいようなかわいらしい仕上がりなので、お土産用にマーケットでも売られているのをよく見かけます。
2階にはオランダ人画家アリー・スミットの作品が展示されています。明るい色彩と動きのある線と点が特徴的な彼の絵画はウブドの若い画家たちに多大な影響を与えたと言われています。
彼の作品はバリ島の自然を描いたものから人物画まで幅広く、見ごたえ十分。アリー・スミットの個性的でシンプルかつカラフルなスタイルには思わず引き込まれるものがあります。
第3展示館は1930年から40年にかけてアメリカ人ロバート・コークによって撮影されたバリ島の舞踊や儀式の写真が展示。第4展示館にはバリ人画家レンパッドのコレクションが展示されています。
外はまだ雨が止まないようです。でもネカ美術館では大きな傘の無料貸し出しがあるので心配無用。第5展示館には現代インドネシア画家を中心にいくつかのグループ分けされて展示されています。ジャワ島出身の画家の作品がほとんどですが、特に写実主義のアブドゥル・アジスの作品が素晴らしいので必見です。
写真左の立ち姿の若い男女の作品はもともとは別々に描かれそうですが、ネカ美術館の創設者ステジャ・ネカ氏が「男性が女性に惹かれているように見える」と感じたことから「引かれ合う心」と名づけられひとつの作品として展示されるようになったらしいです。この作品以外にも興味深い作品を数多く残しているアジスですが、立体的な手法で人物が生き生きと描かれているのが特徴的です。中には本物の額とは別に絵の中に額を描いてあるものもあり、絵から人物が飛び出しているかのような錯覚さえ覚えます。
他にも必見なのがアントン作の「3人のトペン・ダンサー」
第6展示館には芸術表彰を受賞したインドネシア人画家の作品が1階に、2階にはバリにゆかりの深い外国人画家の作品が陳列されています。
ノアの箱舟をテーマにした作品やウィダヤット作の「桜」、そしてアファンディの人物画など、どれも見逃せない素晴らしい絵ばかり。スケールが大きく完成度も高いインドネシア人画家による作品が多く展示されています。そして2階にはルドルフ・ボネの「アルジュナの結婚」やウブドに美術館を持ち、世界的にも知られているアントニオ・ブランコの作品をはじめ、欧米アーティストの傑作が陳列されています。近年のものでは過去にネカ美術館で個展を開催したことのある日本人アーティスト、馬場敬一さんの作品も見ることができます。
6つの展示館のほかにも渓谷を眺めるカフェやお土産ショップも隣接されているので、美術館見学のついでにのんびりと寛ぐこともできそうです。展示作品も多く、見どころたっぷりのネカ美術館はじっくりと時間をかけて回る価値が十分あります。普段絵画にあまり興味のない人でもウブドを訪れた機会にぜひバリ島の芸術に触れてみるのもよいのでは?
以上、バリ島ナビでした。