ウブドの王宮が中心となって創設されたウブドで最も古い美術館。歴史的な作品が数多く展示されています。
こんにちは、バリ島ナビです。ウブドを訪れる観光客にとってぜひおすすめしたいのが美術館めぐり。ウブドは緑豊かな自然のイメージとともに、芸術の村としても有名なのです。バリ舞踊をはじめ、伝統音楽や絵画などバリの文化が広く根付いている土地柄のため、レベルの高い美術作品を展示する美術館が多いのが特徴です。
いくつかある美術館の中でも最も市内の中心部に近いのがウブドの王宮家族がサポートする「プリ・ルキサン美術館」。インドネシア語で「プリ・ルキサン」とは絵画の王宮を意味するそう。王宮が深くかかわっているだけあり、戦前の作品から近年のものまで見どころたっぷりな作品が揃っています。王宮からチャンプアン方面(西方向)へ数百mほど進んだ便利な場所にあるため、ウブドを訪れる観光客に人気があります。
美術館のある丘からの眺め
2008年に開館50周年を記念し、新たに土地を埋め立てて駐車場が建設されました。近年、大型バスの乗り入れが急増して、渋滞がひどくなりつつあるウブド。こんなに広いスペースが町中に出来たのですから、ぜひ活用してもらいたいものです。
駐車場を奥まで進むと受付が見えてきます。営業時間は午前9時から午後5時。じっくり見るためには遅くても閉館1時間前には入っていたいものです。入場料、一人につき4万ルピアを支払い(※2010年4月現在)、パンフレットをもらいます。日本語版もあるので安心です。さあ、階段を上りましょう。
美術館はやや高台にありますが、階段はそこまできつくないのでご安心を。両側に蓮池があり、その中を通り抜けて進みます。美術館の建物は全部で3つだそうです。パンフレットに敷地内の地図があるので、参考にしてみてください。最初の建物は一番奥の建物になります。
剣の舞(1940)
まず最初に目に入る展示品はバリアートのルネッサンスに深く影響を与えたといわれるレンパッドの作品。白黒の墨絵のような筆で描いた作品が数多く展示されています。ヒンドゥー教の神話やバリ島に伝わる伝説が中心に描かれた作品は、今でもバリ人アーティストのインスピレーションとなっているとのこと。バリ島における現代アートの先駆者的存在ともいえるレンパッドの作品はユニークで生き生きとした描かれた人物画が特徴です。
イ・グスティ・ニョマン・レンパッド(1862-1978)
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狼に騙された愚かな王様(1956)
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館内には彫刻も多く展示されています。
ボネの自画像(1895-1978)
創設者の一人でもあるウブドに縁のあるオランダ人画家。バリ島の芸術を推進し、多くの影響を与えたといわれています。館内には第二次世界大戦前に描かれたヒンドゥー教をテーマにした伝統絵画も数多く展示されており、当時の作品は動物をモチーフにしたものが多いようです。作品の多くはオランダ人画家ルドルフ・ボネ氏からの寄贈品です。
さて、第一館の次は正面の蓮池から右に進み、第二館へ進む順番になります。
やや暗めの館内がよりいっそう歴史のあるバリ絵画をミステリアスな雰囲気に。古い作品から比較的近代に描かれたものまで幅広いコレクションが楽しめます。戦後の作品はウブドスタイルに代表される、バリ人の日常生活や風景をテーマにしたものが多く見られます。風景画も遠近感のある手法が用いられ、昔のバリでは女性も上半身が裸で描かれていることが多いのも特徴です。
曼荼羅
アリー・スミットのスタイルを引き継いだ、原色を用いたカラフルな色使いで心を明るくしてくれるヤングアーティストスタイルも有名です。数年前はお土産市場ではいっぱい見かけましたが、最近は抽象画が人気のようであまり見かけなくなったような気がしますね。いずれにしても市場の商品と美術館の作品とはまったくクオリティが違うのは一目瞭然。ぜひ一度本物を美術館で見てもらいたい!
興味深いものに、バリ舞踊をモチーフとした絵画を見つけました。
今でこそ、バリ舞踊は観光客向けに有名になりましたが、もともとはヒンドゥー教の儀式に深くかかわる神へ捧げる踊り。仮面も当然ながら神聖なものとして大事に扱われています。
さて、最後の第三館に進む前に一休みしましょう。丘の上に位置するので眺めも楽しめそうです。長いベンチがあり、何となく日本の公園を思い出させる風景です。敷地内の蓮池は訪れる人を和ませてくれます。
ガラスにエナメルペイントで描かれています。この鮮やかな色はガラスだから可能なのでしょう。もちろんテーマは違いますが、ジョグジャカルタに行ったときに骨董品屋で似たようなものが売られていたのを思い出しました。
「プリ・ルキサン美術館」の全体的な感想としては、バリ島の絵画はもともとは宗教的要素が多いものがほとんどなのですが、戦前に代表される歴史のある古い作品が充実しているように感じました。最近では海外の影響もあり、抽象画に代表される近代アートも盛んになってきたバリ島の芸術ですが、そのルーツを知る上で欠かせない貴重な作品が数多く展示されています。バリの歴史や文化に関わる絵画に興味がある人はぜひ足を運んでみてください。蓮池や丘の上から眺めるウブドの中心部ものんびりしていて心が癒されますよ。
ちなみに館内ではバリ・アート教室(お面作り、木彫り、供物、絵画、バティック、舞踊など)も開催しているそうなので、興味のある方はぜひ参加してみるのもいいのでは?(要前日予約)見るだけではなく実際に体験してみると、バリの文化がより身近に感じられると思います。以上、バリ島ナビでした。