チュニック・ワヤー 「スピリット・オブ・ガムラン&ダンス」

Cenik Wayah 「Spirit of Gamelan & Dance」

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子供たちによるガムランとダンスが蓮の池の奥にあるステージで繰り広げられます。

こんにちは!バリ島ナビです。
数多いウブドの定期公演で「チルドレンズ・ガムラン」を公演の宣伝文句にしているのは、現在(2010年)、この「チュニック・ワヤー」のみです。子供楽団というと小学生をイメージしてしまうバリ島ナビですが、実際に見てみたら演奏者も踊り手も大学生~中学生でした。「チルドレン」いう表現は微妙なので、若者たちによる公演と思って観に行った方が良いでしょう。この公演ではバリ舞踊とバロン・ダンスを楽しむことができます。
蓮池の奥にステージ

蓮池の奥にステージ

正面入り口

正面入り口

会場はロータス・カフェと同じ敷地内にありますが、残念ながらレストランの方は2010年1月現在リノベーション中ということで、スダレが降ろされていました。通常はこのレストランの端の席から、遠目になりますが公演を観ることもできます。時期が悪いのか池の蓮の花はポツリポツリとつぼみが付く程度で、写真では蓮池の魅力がご覧いただけませんが、満開の時にはピンクの花が咲く蓮池の向こうに、割れ門をバックにした屋外ステージが建つという、キレイな風景が見られます。
座席はステージの左右に椅子席、中央部にゴザがひかれた座敷席が用意されています。椅子席は、かなり横側から舞台を見ることになるので、ナビはゴザに陣取ってみました。

公演プログラム

楽器が運び込まれる

楽器が運び込まれる

演奏者とバロン入場

演奏者とバロン入場

突然開始のレゴン

突然開始のレゴン

公演は19時30分開始なのに、時間を過ぎても始まる気配はありません。バリでは時間が遅れることは、よくあるのですが、開演時間を随分経過してから係の人が舞台に太鼓を運んで来たり、パングル(演奏用のバチ)を並べたりし始めたため、それまでは時計をチラチラ見ていただけの他の御客さんたち、「あれまぁ何てルーズなの?!」という感じで肩をすくめて周囲に同意を求めていました。しばらく経って、ゴン(銅鑼)やレヨン楽器のコブ部分が運ばれて舞台に設置されると、おもむろに舞台脇から演奏者が現れて舞台に上がり、続いてバロンがゆっくりと階段を昇って割れ門の中へ入っていきます。

挨拶のお辞儀の後、いきなりレゴン舞踊が始まりました。プログラムでは最初に「美しい御供え物とともに、バロンとバラガンジュール演奏による行列」と書いてあるのですが、どうも本日はカットされてしまった様です。先程の遅れた楽器搬入の理由が判明しました。演奏者が手に持って演奏行列をしながら入場してくる予定だった楽器類が使われなかったので、係の人の手で運ばれてきたのでしょうね。

舞踊 レゴン・トランス・ダンス
歌が始まると

歌が始まると

トランスに入る

トランスに入る

目を閉じて踊ります

目を閉じて踊ります

寺院で奉納されるトランス状態に入った踊り手によるサンヒャン(トランス)舞踊が、舞台用にレゴン・トランス・ダンスという形で演出されています。後方に3人の婦人が座っていますが、サンヒャン舞踊に独特の旋律のコーラスをガムラン演奏にあわせて歌います。白い衣装を着て目を閉じて踊るトランス・レゴンは同じ曜日にプリ・サレンに於いても、肩車で入場するような大掛かりなものが踊られていますが、こちらチュニック・ワヤーのレゴンはコンパクトにまとまった感じでした。
後半は目を開けます 後半は目を開けます 後半は目を開けます

後半は目を開けます


舞踊 クビャール・ドゥドゥック
クビャールという稲妻のように激しい音楽に合わせて座りながら踊るのが特徴のダンスです。前に観に行ったことのある「ビナ・ルマジャ楽団」でも同じ演目を踊っていた人のようですが、彼が今のウブド中心部の楽団内では、クビャール・ドゥドゥックの代表的な踊り子なのでしょうか。


舞踊 ヌラヤン・ダンス
漁師登場

漁師登場

女性も漁のお手伝い

女性も漁のお手伝い

漁師の踊りヌラヤンが踊られます。漁に出て魚を獲ったり、舟を漕いだりする様子が踊りの中で踊られます。


舞踊 バリス・ダンス
戦士の舞踊「バリス」です。バリスくらいは他の公演みたいに小学生の男の子が踊るのかと思ってカメラを構えていたら、プログラムの写真にもなっている高校生でした。ここにきて、ナビ「チルドレンズ」とは何歳を指すのだろう???と考えてしまいます。


楽曲 チュニック・ワヤー・インストゥルメンタル
太鼓奏者が楽団をリードします

太鼓奏者が楽団をリードします

プログラムには「経験豊富な大人の楽団向けに作曲された曲を若い才能のある彼らが演奏します」とありましたが、この時に演奏されたのはタブー・スリシール(ガンバン・スリシル)という曲でした。ガムランを勉強し始めた人でも叩ける簡単なメロディーを繰り返す曲なので、まさかこれを難しい曲という事はないでしょうから、再び演目のカットらしいです。最初のバラガンジュール演奏の行列も省略されたので、チュニック・ワヤー公演でしか聴けない曲、というのを残念ながら今回は聴くことができませんでした。
延々と曲が繰り返されていたので、踊り手の準備を待つためにスリシールで間を持たせた、といった感じでしょうか。先程のバリス舞踊も遅れて到着したようで、プログラムの順番が変更されていました。
凝った衣装を着ています

凝った衣装を着ています

できれば、楽団の演奏能力を表現できるオリジナル曲を一曲くらい聴かせて欲しかったです。


舞踊 ニャマール・ダンス
左がレゴンだった子

左がレゴンだった子

近年の創作舞踊で古いジャワの物語「チャンドラ・キラナの物語」が踊られます。バリ舞踊らしくないインドを意識したような衣装を踊り子が着て4人で踊ります。先程のレゴンが衣装を替えて再登場していました。
バロン・ダンス
客に尻を向けずとも・・・

客に尻を向けずとも・・・

演奏者が数人、受け持ち楽器を交代して座り、バロンの前奏が始まります。割れ門から、バロンが登場します。他の踊りは全て舞台脇からの登場だったのですが、バロンに限っては階段を使える別格の身分のようで、さすが聖なる獣です。階段からジワリジワリと降りて舞台へ入ってくる様子は、割れ門の美しい彫刻が背景になって、素敵でした。

バロン・ダンスの演奏が続く中、曲に合わせてゆっくりと、踊り子さんたちが舞台へ再び出てきます。最後に恰幅の良いご婦人が英語でご挨拶。
この「チュニック・ワヤー」、結成当初は小中学生による子供楽団だったものの、現在では立派な青年たち。子供呼ばわりは失礼にあたると思うのですが、主催者は「子供楽団」としての宣伝を続けたいみたいです。しかし、化粧をすると大人っぽさに輪をかけるバリ舞踊ですので「チルドレン」と言われて期待して行くと、肩すかしを食らうような大きい人が踊っていた、という状況になり誤解を生むと思うのですが・・・。開始前に、親子連れの御客さんが「○○ちゃんと同じくらい小さいお友達が踊るのよ~、すごいわね~。」と楽しそうに話してあげていましたが「お友達いなかったね~、でも大きいお姉ちゃんたちキレイだったね~。」と、終わってから漏らしていたのが、大半の客の感想だと思います。かわいらしい小学生の踊り子は、他の楽団に確保されて、人数がまかなえなくしまったのでしょうか・・・。

「女性楽団」と「子供楽団」はウブドで定期公演を行う楽団としては、少数派です。女性楽団に関しては主婦によるガムラン・グループが続々と結成されて公演を旗揚げし、ケチャ・ダンスまで行ってしまうほど頑張っているのですが、チルドレンズ・ガムランは、この「チュニック・ワヤー」のみになってしまいました。以前はアルマ美術館でも子供楽団が公演をしていたのですが、メンバーが大きくなったので「子供楽団」を改めて「青少年楽団」として公演を続けていたものの、学業が大きな理由で結局公演は休止になりました。踊りや楽器の練習をしている風景を見ると、子供たちは大勢いるので、踊り子不足というのは不思議に思われるでしょうが、踊りを始めたばかりの小さな子供たちは非常に熱心でも、小学校高学年になってくると、バリでも現代っ子たちは学業や他に興味のあることを優先させる傾向にあるようで、芸能から少し遠ざかってしまいます。これも時代の流れかもしれません。上手になって公演に出られるまでのレベルに至っても、公演のために毎週時間を割くのは大変だから辞めてしまうという子供もいるそうです。未来のミュージシャン&ダンサーたち、頑張れ!

以上、バリ島ナビでした。


記事登録日:2010-02-12

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スポット登録日:2010-02-12

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