3月のバリ島ってどんな月?
アパ・カバール、バリ島ナビです!バリ島の雨季もいよいよ終盤にさしかかりました。暦の上での雨季明けとなる「ニュピ」を迎える3月のバリは、あちらこちらで儀式や祭礼が繰り広げられる、まさに、「神々の島バリ」というフレーズを実感できる季節。照りつける太陽の下を、極彩色絵巻さながら、鮮やかな正装姿のバリ人が行列していく姿をあちこちで見かけることもあることでしょう。さあ、それでは、3月のバリ島、ご紹介していきましょう。
バリ島の気候と天気
【気温】 最高33.6℃ 最低24.0℃
【降雨量】 234mm 平均降雨日数20日
「史上最強」と言われる「ラニーニャ」の影響で、例年にない天気が続いているバリ島なんですが、雨季もどうやら終盤に差し掛かったようです。バリでは雨季に入ってしばらくは、毎日のように雨が降りますが、それが過ぎるとしばらくお天気は落ち着いて、雨季とはいえ雨が降らず暑い日が続くようになります。そしてそれもしばらく過ぎると、また空模様が怪しく、天気が崩れやすくなってきます。これが「雨季が終盤にさしかかった」合図。雨季終盤の雨は、雷を伴う豪雨になることもしばしば。そんな大雨が何度か降って、そうして雨季は明けていきます。暦の上での雨季明け「ニュピ」を迎える3月のバリ島。でも、実際毎年この「ニュピ」のあとには雨季の名残とばかりに、しばらくぐずついたお天気になることが多いようです。道端の石像が一段と苔むして、風情を増しています。日陰の小道などは、苔で滑りやすくなっていたりしますので、皆さんも滑らないようにじゅうぶんに注意して、雨季の終わりを楽しんでくださいね。
バリ島カレンダー
バリの暦
■3月の新月 3月4日
■3月の満月 3月19日: この日からブサキ寺院のオダランが始まります。
インドネシアの祝日
■ニュピ 3月5日
バリの暦で9番目の月に当たる「サシ・カサンゴ」は3月4日まで。3月5日から、バリ暦10番目の月である「サシ・カダソ」になります。そしてこの、「サシ・カダソ」の一日目は、バリではとても大切な祝日「ニュピ」、この日がバリでは「新年」のはじまりとなります。
3月のイベント
新年ニュピを迎えるにあたり、一年の穢れを祓う浄化のための儀礼がその直前にあちらこちらで行われます。
ニュピの三日前に、村のお寺からご神体を持って海岸(海岸から遠い地方に住む人たちは、近くに流れる川)へ行き、ご神体を清める儀式を行います。これをムラスティといいます。正装した人々が、バロンやご神体と共に海岸を埋め尽くすその美しさといったらありません。これぞまさに白昼夢、極彩色絵巻。そんな人々が花びらを指先ではさみ、揃って祈りを捧げる姿は一見の価値あり、です。いつもはサーファーでにぎわうクタのビーチも、ムラスティの日は次から次へとやってくる正装姿のバリ人に埋め尽くされて、サーファーたちもはるかかなたに追いやられてしまうのです。
新年ニュピを翌日に控えた、ニュピ前日は言ってみれば「大晦日」。この日は村中、そしてそれぞれの家の中を浄化します。この日のために用意したおびただしいお供え物が、村の四辻や村の境界に供えられます。このお供え物は特に、地中に棲むと言われる悪霊に対して捧げられるもの。「いつも飢えている」という悪霊に、どうぞそのまま地中でおとなしくしていてくださいという願いを込めて供物を捧げます。バリヒンドゥーでは、神様にだけ供物をささげるのではなく、こうした悪霊のような存在にも同じように供物をささげるところが特徴的。悪いものを退治するのではなく、悪いものも受け入れて、そのうえでバランスをとっていくこと、つまりハーモニー、「調和」を大事にするんですね。ひたすらに正義正しく日のあたるところだけをまっすぐ進むのではなく、そうでない部分も受け入れてバランスをとる、という考え方。とってもバリらしいと思います。バリではこの、ニュピの期間にかかわらず一年中供物で満ち溢れていますが、供物の中でも地面に直接置かれたお供え物、これらはすべて「地中に住む」悪霊にささげられたお供え物なんです。
そうしてこの日。日が落ちたあとは、バリ島で一番楽しいイベントが待っています。それは「オゴオゴ」。悪霊をかたどったはりぼての行列です。
バリでは、ニュピの日を以って、暦の上では雨季明けとなります。雨季は、じめじめして病気が流行りやすい季節。病気や災いを持ってくる悪霊たちを、ニュピ前夜に思い切り暴れさせ、楽しませ、そうして新年ニュピには悪霊たちが満足してバリを離れてくれますように、という願いをこめた、悪霊たちのパレード、それが「オゴオゴ」です。
この「オゴオゴ」、ニュピの前になると各村で、男たちが集まって作ります。気合の入ったオゴオゴを作ることが村の威信にもつながるためか?毎年このオゴオゴにはそれはそれは手の込んだはりぼてが出来上がります。でも、ニュピ前に、夜、村の道をバイクを走らせていたりしたら、暗闇からぬっと製作途中のオゴオゴが姿を現したりするので、ビックリさせられるんですけど。
そしていよいよ、ニュピ前夜「オゴオゴ」の行列がスタートします。バリ在住10年を過ぎたナビですが、何度経験してもこれは文句なしに、最高に楽しいイベントです。ガムラン隊を先導に村を練り歩くはりぼての悪霊たち。それを担ぐ男たちはまるで喧嘩御輿のようにテンションマックス!!ぜひぜひ、あなたも機会があったら、ニュピ前夜のオゴオゴ、体験してみてくださいね。
ここでちょっと注意を。オゴオゴが行われるニュピ前日は、この行列のためにいろいろなところで交通規制が入ります。一番盛大にパレードが行われるデンパサールでは、中心会場となるププタン広場のあたりは午後3時頃から車が入れなくなります。そんなに早くから規制を行わないところでも日が暮れてからのパレードのために夕方以降は通行止めになる道路が多くなります。なのでこの日、帰国のために空港へ向かうという方はどうぞご注意ください。くれぐれも、時間に余裕を持って空港へ向かうことをおススメいたします。
さあ、喧騒と熱狂の一夜のあとは、いよいよ静寂の一日「ニュピ」がやってきます。ニュピの日は、一日中外出禁止。火を使うこと、音をたてることを禁止され、人々は一日中家の中で静かに、瞑想と断食のもとに過ごす一日です。バリ島が静寂に包まれるこの日、バリ島発着の飛行機もすべて運休。車やバイクも通行を許されません。旅行者の方たちは一日中ホテルの敷地の中で過ごすことになります。せっかくバリ島に旅行に来たのに、一日ホテルにいないといけないなんてなんだかソンした気持ちになるから、できればニュピを避けて旅行の計画を立てた方がいい、という意見を時々聞くのですが、いえいえけしてそんなコトはないんですよ。前日のオゴオゴの喧騒がうそのように静まり返ったニュピ当日。車やバイクの音もいっさい聞こえず、排気ガスも出ないこの日は、空気も澄み切っています。本当に心が清められるようなニュピの日。過ぎた年を思い返し、執着を捨て去り、新しい年も平穏の中に過ごすことができるように、そんな思いで一日を過ごすバリのお正月「ニュピ」。この日は間違いなく「地球のリセット」の日。そんな一日を、バリの人たちと同じように、心静かに過ごしてみるのはいかがでしょうか。
「瞑想と断食のもとに過ごす」とされているバリですが、旅行者の方たちはそこまで覚悟しなくても大丈夫。ホテルでは宿泊客のためにレストランの営業をしています。でも、もしもロスメンやホームステイにお泊りになる方は、ニュピの日の食事はどうなるのか、宿のスタッフや家族に、事前に確認しておいた方がいいかもしれません。もしその宿が、特に食事のサービスをしないというのなら、ニュピの食糧の確保をしておきましょう。考えることはバリ人も同じなので、ニュピ前日、遅い時間にスーパーマーケットへいくと、パンやカップ麺の類が売り切れていることもあります。買出しは、なるべく早い時間に済ませることをおススメします。え?「ニュピの日、バリ人は一日中瞑想と断食をするんじゃないの?」って?そこはそこ。まあ、なにごとも「ほどほどにバランスよく」というのが、バリ人ですからね。
バリに住んで10年以上になるナビですが、ほかのいろいろなバリの祭事や儀式にはすっかり慣れてしまい特になんとも感じないんですが、このニュピだけは、いまだにドキドキして、毎年ものすごく楽しみにしています。ニュピが近づくとソワソワしてきます。本当にバリ島らしいいろんなことがいっぺんに体験できるニュピ。いかがですか?どうぞあなたも、一度バリ島のニュピ、経験してみませんか?
バリ島知っ得情報!
さて、サカ暦の新年であるニュピが終わったあとは、あちらこちらのお寺でお祭り(オダラン)が始まります。バリヒンドゥーの最高峰のお寺ブサキ寺院でも、ニュピの終わったあとの満月の日、今年の場合は3月19日より、オダランが始まります。
バリのお寺のオダランは、旅行者にエキゾティックな雰囲気を提供するものではなくて、あくまでも、バリヒンドゥーの信者のための祭礼です。とはいうもののバリの人たちは、自分たちの宗教や文化に関心を示してくれる人には基本的にとってもウエルカム。けして閉鎖的な人たちではありません。オダランの見学も場所によっては可能なんです。でも、だからこそ、異文化を体験させていただくこちらもそれなりに相手に敬意を持って接したいもの。オダランを見学してみたいと思ったら、バリの人たちと同じようにバリの正装をする、これは最低限のマナーであり、ルールです。
というわけで、今日ご紹介するのは、バリの正装に欠かせない、インドネシアの民族衣装ともいえる「サロン」。バティック(ろうけつ染め)もしくはイカット(織り)のものが代表的なこの「サロン」は要するに一枚布。バリの人たちは、男も女も、この一枚布をさらっと腰に巻きます。
バリでは市場やお土産物屋さんなど、あちらこちらで売られているバティックのサロン。一枚持っていると、とっても便利です。ちょっと肌寒い時は肩に羽織ったり、海やプールからあがった時にさっと腰に巻いたり、おしゃれなシャツと合わせれば改まったディナーの席でも大丈夫(なんせインドネシアはこのサロンが「正装」なんです)。お気に入りの一枚を見つけて、バリならではのおしゃれを楽しんでみませんか。
最後は「サロン」の巻き方をご紹介
さて、そんなサロンなんですけど。このサロンの巻き方にも、実は「流行」というものがあります。高いヒールのサンダルをはいて、裾を長めに巻く「足長に見せるスタイル」が流行った時期もありましたが、ここ2-3年の流行は、「思いっきり短くはく」スタイル。今日はこの、バリ人ギャル?たちの間ではもうすっかり常識、最近はオバサンもこれよ、の、サロンの巻き方をみなさんにお教えしましょう。これをマスターすればバリ人から、「お?なかなかやるな!」という尊敬の目で見られることは間違いなし!?
これで完成。
ラインが裾にむかってすぼまっていくようになっているのを確認しましょう。この着方ならば足さばきもラクですので、歩きやすく、祭礼の時だけでなく、普段でもじゅうぶんに使えます。間違っても、だらんと長く裾を引き摺った着方とか、裾がすぼまらないで広がってしまう、「Aライン」にならないように気をつけて。
おしゃれにサロンを着こなせれば、いっそう居心地がよくなるバリ島です。サロンはインドネシア先人の知恵。実に風土にあっていて、高温多湿のこの土地で、着ていて涼しく、洗ってもすぐに乾く。ちょっと肌寒い時は肩に羽織ったり、寝る時は布団替わりにもなります。そのうえ実に多様な色と柄で、選ぶのも楽しいサロン。みなさんもどうぞ、お気に入りの一枚を見つけてくださいね。
今月はバリ島の「ニュピ」ご紹介いたしました。それではまた来月お目にかかりましょう。サンパイ・ジュンパ~!!
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2011-02-24