8月のバリ島 【2011年】

8月のバリ島はどうでしょう?

アパカバール?バリ島ナビです。
夏休み本番!バリ島は世界中からお客さまを迎える8月です。南半球に位置するバリ島は、今が「冬」の季節。とはいうものの、もちろん赤道直下です。寒くはありません。暑過ぎもせず、寒くもなく、観光にはもってこいの8月のバリ島。爽やかな乾季はまだ、続きます。

先月ここでもちょっとだけご紹介しましたが、2011年の8月は、イスラム教徒にとって、一ヶ月に渡る断食の月に当たっています。バリ島はインドネシアの中にあって、唯一ヒンドゥー教の島ですので、直接関係はありませんが、いろいろな点で注意しておかなければいけないことも、いくつかあります。それでは8月のバリ島、今月もご紹介していきましょう。

バリ島の気候と天気

【気温】 最高29.6℃ 最低22.5℃
【降雨量】 25mm 平均降雨4日
8月。バリ島は1年中で一番涼しい季節を迎えています。ここ何年か、日本の夏はと~っても暑いようですが、8月は間違いなく日本よりもバリ島の方が涼しいでしょう。みなさま、どうぞこの季節、爽やかなバリ島へ「避暑」においでください。だいたいバリ島にいると、年間通して暑いことは暑いんです。一年中「夏」の季節の中に住んでいると、どうしても着るものが決まってきます。通気性がよくて、暑苦しくない服装が一番!ですが爽やかなこの季節は、少し重ね着などして「おしゃれ」もできる季節なんですね。北半球からこの時期バリにやってくる旅行者のみなさんは、もちろん真夏の格好。行き先は常夏の島、バリ島なのですから、それは間違ってないのですが、意外に冷え込む夜や明け方の寒さ(涼しさ)に、旅行先で思わず買いたくもない長袖を買う、ようなことがないように、みなさんもこの時期は、涼しさ対策の長袖を一枚、お持ちになることをおススメします。もっともそういう時のために、インドネシアのバティックやイカットの「サロン」がとっても便利。一枚バッグに入れておいて、ちょっと涼しいなと思ったら、ふわっとサロンをまとう、なんていうのもしゃれてます。しゃれているだけではなくて、これが実際とっても寒さ対策になるんです。こちらの建物はほとんどタイルの床。ふだんはそれがひんやりとして気持ちいいのですがこの季節はとにかく「冷える」。夜などはしんしんと、床から冷たさが伝わってきます。そんな時に、シルクのサロンを一枚敷いてみると、なんともあたたかいから不思議です。みなさんも、ぜひ覚えておいてくださいね。
ふだんの暑い時期は、昼間あまり行動的に活動すると、悪くすると熱中症、なんて心配もありますが、でもこの季節なら大丈夫。アクティブに行動できます。ショッピングで一日中歩き回ってもそんなに疲れません。雨季まっさかりの時のように、朝は晴れていたのに昼過ぎから大雨が降ってきて、行動を制限されるようなことも比較的少ない季節です。

この季節は昼間の暑さがそれほど厳しくないので疲れもあまり感じません。なのでナビはついつい、夜遊びしたくなってしまう季節です。夜が長い8月のバリなんです。でも、海からの風も、山の空気も、冷えてくる8月の夜遊び。みなさま風邪など引かないようにじゅうぶん注意して、楽しい8月のバリをお過ごしくださいね。

バリ島カレンダー

バリの暦
■8月の満月:8月13日
■8月の新月:8月28日
バリ暦2番目の月「サシ・カロ」は8月28日まで。8月29日からバリ暦3番目の月「サシ・クティガ」が始まります。

8月のインドネシアの祝日
■8月17日 インドネシア独立記念日
8月17日は、インドネシアの66回目の独立記念日にあたります。ここでちょっと、インドネシアの歴史について簡単にお話したいと思います。

17世紀から、そのほとんどがオランダの植民地だったインドネシア。しかし当時はまだ「インドネシア」という国家は誕生していなく、それぞれの島で異なる言語を使っていました。そんな中1929年にオランダの植民地政府に対立するかたちで「インドネシア国民党」なるものが誕生。徐々に民衆の心をつかんでいきます。そして、第二次世界大戦が起こり、1942年には日本軍が上陸。オランダ支配時代はここで一応終わることになります。

その後、日本の敗戦によって第二次世界大戦が終結。日本軍撤退のあとの、1945年8月17日、インドネシアはいち早く、独立を宣言しました。こうして、総面積約190万平方キロメートル、北緯6度から南緯11度、東経95度から141度に位置し、東西5000キロ、南北2000キロにも及ぶ領域に1万7000あまりの島が点在する、世界最大の島嶼国家、インドネシア共和国が誕生しました。実は「インドネシア語」というのは、この時に作られた言葉。民族の共通の言葉として、比較的新しい歴史の言葉なのです。

ちなみにこの独立を宣言した初代大統領はスカルノ。副大統領はハッタ。このふたりの名前は今も、ジャカルタの国際空港の名前(スカルノ・ハッタ空港)にもなっています。スカルノのお母さんはバリの人なのでスカルノはとてもバリびいき。バリにも別荘をもっていました。でもそれよりも、日本人にとってスカルノといえば、そう、デヴィ夫人のだんなさまとして有名かもしれません。インドネシアとバリ、そして日本の、なんだか「ご縁」を感じてしまいます。
独立記念日には各地で式典が行われます。そしてこの式典には、なぜか行進がつきもの。この季節、早朝や夕方、独立記念日記念式典行進の予行練習風景を、よく見かけます。でも、こんなところにもちょっと「時代の波」を感じてしまう最近のナビ。というのも、昔はここバリ島では、「姿勢の悪い子供」「肥満気味の子供」なんて皆無といってよかったのに、今は。。。うーん、バリ島も、少しづつ「都会化」されてきているということなんでしょうかねえ。。最近の日本ではついぞ見かけなくなりましたが、昔は祝日になると、日本でも国旗を各家の前に掲げていましたよね。独立記念日が近づくと、街のあちらこちらには赤と白のインドネシア国旗が掲げられます。当日は各家庭の前にも、インドネシア国旗を掲揚。この時期、テレビコマーシャルやテレビの番組も、「独立記念日のスペシャルバージョン」が流されます。いろいろな島のいろいろな生活風景を映し出すこの独立記念日バージョンテレビCMは、とても感動的な作りで、なかなかドラマティック。見ごたえがあるこので、ナビは毎年とっても楽しみにしているんですよ。みなさまも8月にバリにいるなら、言葉がわからなくてもちょっとホテルのテレビをインドネシアローカル局に合わせて、このCMを探してみてください。

■8月30日―31日 イドゥル・フィトリ(イスラム教の断食明け)

7月30日よりイスラム教徒は、年に一度の断食月に入っています。断食は、毎年イスラム暦9月の一ヶ月間、日の出前の礼拝時から日没までの間、いっさいの「欲」をたち、飲食と快楽を控えて清らかな心で過ごす、イスラム教徒にとっては年に一度のハイライト行事。このためイスラム教徒の人たちは、断食月に入ると、夜明け前、朝4時頃までに朝食をとり、日没の午後6時頃まではいっさい飲食をしない生活になります。
世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアの中にあって、バリ島は、島民の90%がバリヒンドゥーを信仰していますので、イスラムの断食月といっても、ジャワやそのほかのインドネシアの島に比べると、この断食の影響もあまり大きいとは言えません。バリ人はこの期間に断食をしませんので、街中のレストランなども、普通に営業しています。そのためバリにいる限り、直接的にこの「断食月」を感じることもそんなにはないと言っていいでしょう。テレビなどで断食スペシャルバージョンのコマーシャルが流れたりして、断食中であるということが思い出される程度です。この「断食スペシャルバージョンのコマーシャル」というのは、断食明けの食事には家族揃ってインスタントラーメンを食べましょう、とか、飲み物はナントカカントカのシロップを、などというもの。断食の期間は、一日の食事を「まとめて」摂るためか、聞くところによると不思議なことにいつもより食品の売り上げが伸びるとか。
断食期間に特に売れるのが、「お菓子」「インスタントラーメン」「シロップ」だとか。 断食期間に特に売れるのが、「お菓子」「インスタントラーメン」「シロップ」だとか。 断食期間に特に売れるのが、「お菓子」「インスタントラーメン」「シロップ」だとか。

断食期間に特に売れるのが、「お菓子」「インスタントラーメン」「シロップ」だとか。

断食月の影響を比較的受けないバリ島ですが、この、一ヶ月の断食期間が終わりにさしかかると、バリヒンドゥーの島バリ島も、その影響を受けるようになります。

断食が終わると断食明けの大祭「イドゥルフィトリ」を迎えます。これはインドネシア最大の休暇時期。日本でいうなら盆と正月がいっぺんにきたようなもの。他の島からやってきて、バリで働いているイスラム教徒も、この期間はお里帰りをします。今年は8月29日の月曜日からイドゥルフィトリのための休暇週に入りますが、実質その前の土曜日、27日くらいから休暇に入る人やお店が多くなります。「パダン料理」や「ジャワ料理」など、イスラム教徒のやっているお店は軒並みお休み。もちろん官公庁もお休みになります。

この、大型休暇となるイドゥルフィトリ。この期間、バリ島へ旅行に来るインドネシア人観光客は、年々増えてきています。そのためこの時期は、どこもかしこもインドネシアからの旅行者でいっぱいのバリ島。インドネシアの人たちは、まだまだ若者どおしのグループ旅行というのはほとんどなくて、旅行といえば「家族単位」が基本。お父さんとお母さん、子供三人にベビーシッターをつけて、時にはそこにおじいさんとおばあさんも一緒、といった具合に、賑やかな家族旅行の風景をあちこちで見かける、断食明け「イドゥルフィトリ」のバリ島です。
断食明けのあとは、バッソー屋台のお兄さんたちも、お里帰り。 断食明けのあとは、バッソー屋台のお兄さんたちも、お里帰り。 断食明けのあとは、バッソー屋台のお兄さんたちも、お里帰り。

断食明けのあとは、バッソー屋台のお兄さんたちも、お里帰り。

今月のイベント

今月のイベント、と言ってしまうには、いささか抵抗があるのですが、今日は、乾季につきもののバリ島のイベント(?)「葬式」についてご紹介したいと思います。

実は8月は、バリ島では「お葬式の季節」なんです。と、申し上げるとみなさんは、「え~?お葬式に季節なんてあるの?」っておっしゃるかもしれません。人が死ぬのは別に8月と限ったわけじゃあありませんものね。でも、バリ島では確かに、8月(7月も)というのは「お葬式の季節」なんですよ。

葬式にお金がかかるバリでは、人が亡くなるといったん埋葬し、葬式費用ができたら改めて火葬式を行うのが普通なんです。火葬式には莫大なお金がかかりますので、単独で葬式を出すのが困難な人たちのために、村でまとまって合同火葬を行うこともあります。そんな葬式を行うのに多い季節が、7月から8月にかけての、乾季の季節というわけなんです。
バリの葬式は公開火葬が基本です。大きな牛のはりぼてや高い塔をかつぐ人の、まるで「お祭り」のようなバリの葬式の写真、みなさんもどこかでごらんになったことがあるのでは?日本人にとって、葬儀とは故人とのしめやかなお別れの儀式。そんな場所に、故人と関係のない人がでかけていって、葬式見学なんて不謹慎な、と思われるかもしれませんが、バリではそんな気遣いはいっさい必要ありません。たくさんの人に見守られて、盛大に火葬されることは故人も喜ぶと考えられていますので、旅行会社が「葬式見学ツァー」を出したりすることさえあるんです。
さて、この「お葬式」。実際にお葬式が行われるまで、それはそれはたくさんの準備と儀式が必要になります。葬式の日にちがきまると膨大なお供えものをつくるために村人が総出で手伝います。とてもひとつの家族でまかないきれないくらいたくさんのお供え物を、準備しなければならないんですね。葬式の規模にもよりますが、王家のお葬式などの場合は、二ヶ月も三ヶ月も前から村中の人が手伝ってお供え物を作る、なんてこともあります。葬儀が近づくと、棺作りが始まります。棺には2種類あって、火葬の時に故人の遺体を納める「ルンブー」と呼ばれる棺と、火葬場まで故人の遺体を運ぶための「バデ」があります。村の合同火葬などの場合は、亡くなってからだいぶたっている場合もあり、長い間土中に埋葬されていたため、遺体というよりはすでにすっかり骨になってしまっている場合もありますが、それでも「火葬」はバりの人たちによって、魂がこの世からあの世へと旅立つための大切な儀式。必ず行わなければならないのです。バデとルンブーを男衆が御輿のように担ぎ、火葬場へと向かうこの派手な行列は、バリのお葬式最大の「見せ場」と言えるでしょう。

バリの中でもウブドのあるギヤニャール県は、昔からお葬式が派手なことで有名。この8月にも、現ギヤニャール県知事のお母上のお葬式が行われることになっています。現ギャニャール県知事は、ウブドのホテルピタマハやチャンプアンホテルなどを経営するウブド王族チョコルダ一族。今回のお葬式は、ウブド王家のお葬式ということになり、盛大に執り行われることが予想されます。お葬式の予定は、8月18日。この時期、ウブドにいらっしゃる方は、どうぞお見逃しなく。
お葬式の準備が始まった、ウブド王宮の様子。 お葬式の準備が始まった、ウブド王宮の様子。 お葬式の準備が始まった、ウブド王宮の様子。

お葬式の準備が始まった、ウブド王宮の様子。

バリ島知っ得情報

それではここで、ナビがあなたにお教えする、「バリのお葬式見学の心得」。

普通、旅行者がバリのお葬式を見学する場合、火葬場までの棺の行列と、火葬式そのものを見学することになります。葬式当日、葬儀を出すお宅では、朝から故人との最後のお別れの儀式が行われていますが、家の中のこの儀式には、招待された人しか参加できません。一般の見学者は路上で、棺が出てくるのを待つことになります。

バリのお葬式は一大イベント。棺をかつぐ行列のため、道路は封鎖されます。大きな葬式ともなると、バデの高さが10メートル以上になることもあるので、そういった場合は電線も切断してしまいます。当然そのあたり一帯は停電。ですのでデジカメの充電などは、大事をとって前日までにしっかり済ませておくようにしましょう。
葬儀を出すお宅から火葬する寺までの路上には、早くから見物人が場所取りを開始し、それを目当てに物売りの姿も。食べ物や飲み物を売る簡易屋台も出て、どこから見ても「お祭り」の風景。道路が封鎖さて、「歩行者天国」状態になっているのを喜んで、子供たちが意味なく走り回っていたりして、なかなか楽しい?バリのお葬式の風景です。そんな中で、見学する場所を決めて、腰を落ち着けて行列の到着を気長に待つことにしましょう。棺が故人のお宅から出るのはだいたいお昼頃になりますが、大きなお葬式ともなると午前10時前から人々はお気に入りの場所を確保して、路上に座って行列の到着を今か今かと待っています。いやでも期待が高まるんですけど、でも、この「行列を待つ時間」が意外と長いんですよ。なのでくれぐれも、日焼け対策は怠りないよう、熱中症にはくれぐれもご用心。水分補給は忘れないようにしてくださいね。
そして、いざ!棺をかつぐ行列が出発し、熱狂と興奮の行列がやってきたら、どうぞじゅうぶんに身の回りに気をつけて見学なさってください。巻き込まれてケガをした、なんてことがないように。行列が火葬場であるお寺へ到着したあとは、遺体をバデからルンブーに移し、いよいよ火葬です。一般の見学者の場合は、火葬するあたりまで見学すれば、クライマックスはおしまい。このあたりになると、見学者はいっせいに帰路につきますので、火葬するお寺のまわりは大渋滞になります。ホテルから迎えの車に来てもらうような場合は、少し時間をずらしてお願いするか、火葬するお寺から離れた場所をお迎えの場所に選んでおく方がいいでしょう。

火葬が終わったあとも、焼けた灰を集め、親族にはまだまだ決められた儀式が残っています。バリのお葬式は準備もさることながら、親族にとっては本当に長い長い大変な一日。でも、魂が輪廻転生すると信じられているバリヒンドゥーでは、肉体を火葬して魂を解き放つことは、よりよい転生への欠くべからぬ儀式なんです。この火葬を行うことによって、故人の魂は「祖先の霊」となり、子孫たちを守ってくれる存在になるのだそうです。残された家族にとっては、故人の火葬式を出すということは、バリ人として義務中の義務。そんな大変な火葬式を執り行うことができたのですから、故人を亡くした悲しみの中にも、バリのお葬式はどこかしら晴れやかな雰囲気が漂っているんです。

故人を偲び悲しみの中に行われる葬儀とは、ずいぶん異なる雰囲気のバリ島のお葬式。バリ人の世界観を少しだけ垣間見ることのできる機会でもあります。こんなお葬式があちらこちらで行われる8月のバリ島。みなさんも、バリ島のお葬式、一度見学してみませんか?
それではまた来月お目にかかりましょう。サンパイ・ジュンパ~!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-07-21

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