11月のバリ島はどうでしょう?
アパカバール、バリ島ナビです!日本は、晩秋の気配漂う頃かと思いますが、11月のバリ島は、暑い季節のまっただ中。昼間の太陽はぎらぎらと照りつけて、歩いているだけでじりじりと肌を焼いていくようです。本格的な雨季にはまだもうちょっと間がありますが、バリ島は一年で一番暑い季節を迎えます。
雨季といえば、トロピカルフルーツが実り、花々が咲く匂う、いかにもバリ島らしい美しい季節。とはいうものの、大雨が降れば洪水も起こる、雷が落ちれば停電にもなる、がけ崩れや倒木などの災害も多くなる雨季を前に、あちらこちらで急ピッチで補修工事も行われています。
空気は湿気を含んで、ねっとりとまとわりつくようになってきました。雨季の到来を前に、夏まっさかりのバリ島。それでは今月も、ご紹介していきましょう。
バリ島の気候と天気
【気温】 最高32.7℃ 最低23.5℃
【降雨量】 276mm 平均降雨日22日
雨の降る日数がぐんと増え始める11月のバリ島。とはいえ、この季節はまだ、決まった時間に決まったようにスコールが降る、という雨季特有の降り方ではありません。
夜から朝にかけて雨が降ることもあれば、朝は晴天だったのに昼過ぎから降り始めることもあります。遠くで雷が鳴っているのに雨は降らない、ということもあれば、夕方から降り始めた雨がなかなか止まず、そのまま朝まで降り続けたりすることもあります。
つまりこの季節、本格的な雨季が始まっていない季節の雨の降り方は、なんとも決まりがなくてやっかい。ころころとかわりやすいお天気なんですね。
乾季が終わって雨季が始まるまでの季節は、とにかく太陽の陽射しが強烈なのが特徴です。そのため11月のバリ島は、とにかく暑い。昼間うっかり帽子や日傘を忘れて歩き回ったりすると、てきめんに日焼けしますのでご注意。日焼けくらいで済めばいいけれど、時には軽い熱中症に似た症状を引き起こすこともありますので、くれぐれも長時間陽射しの下にいることがないようにみなさまお気をつけください。
そんな暑さをいっときやわらげてくれるのが、雨。雨が降ると気温は一気にさがり、焼けたアスファルトや地面、木々や草花も深呼吸しているかのよう。ひと雨来たあとの空気のすがすがしさもこの季節の特徴。夕方に雨が上がれば、運がよければきれいな夕焼けを見ることも、できるかもしれません。
こうして少しづつ、バリ島は雨季に向かっています。
バリ島カレンダー
バリの暦
■11月の満月:11月10日
■11月の新月:11月25日
バリ5番目の月「サシ・クリモ」は11月25日まで。11月26日からバリ暦6番目の月「サシ・クナム」が始まります。
11月23日より、ウブドのグヌン・ルバ寺院、バンリのケヘン寺院のオダランが始まります。
11月のバリ島の祝日
■11月19日:サラスワティの日
■11月20日:バニュ・ピナロの日
■11月21日:ソマ・リバッの日
■11月22日:サブ・マスの日
■11月23日:パゲルウェシの日
今月のバリ島は、ヒンドゥー教関連の祝日がいっぱいです。まず11月19日(土)は、「サラスワティの日」。学問と芸術の女神サラスワティに感謝を捧げる日です。インドを由来とするこのサラスワティの女神様は日本では「弁財天」として知られていますね。バリではこの日、人間は本を読んだり書き物をするのは、お休み。本や書物の類、ノートや教科書にも、お供え物が捧げられます。学校はお休みになりますが、子供たちは正装で登校し、学問の女神サラスワティに祈りを捧げます。
そして翌日、11月20日(日)、この日はバニュ・ピナロの日。サラスワティの女神の恩恵を受けるために、人々はこの日からだを浄めます。早朝に、海、もしくは川でマンディ(水浴び)をすると、サラスワティの女神の聡明な美しさにあやかれる、とも言われ、この日人々はこぞって、海もしくは川にマンディに出かけるのです。またこの日、家庭では、ナシ・クニンというターメリックで黄色く色づけしたご飯を炊いて家族で食べる習慣があります。
11月21日(月)はソマ・リバッの日。この日はデウィ・スリという「稲の女神」に感謝を捧げる日です。そしてすべての人がデウィ・スリの恩恵を受けることができるように、つまりは稲の実りを受け取ることができるよう、食べることに不自由しないようにと、米びつや米蔵にお供え物を捧げます。
11月22日(火)はサブッ・マスの日。この日は金や銀の装飾品、そしてお財布などにお供え物を捧げます。
そして、11月23日(水)はパゲルウェシの日。この日はバリ・ヒンドゥーにとって、ガルンガン、クニンガンに次いで大事な祝日とされています。この世の中のすべての「バランス」が保たれ、世界の調和が神によって守られるようにと、人々は盛大な供物を家寺に供え、神の加護を祈ります。
サラスワティの日から5日間、バリの人たちは、毎日いろいろなものに特別な祈りを捧げることになります。サラスワティの日と、翌日のバニュ・ピナロの日は、サラスワティの女神のような、知恵と聡明さ、そして美しさにあやかろうと。ソマッ・リマの日と、サブッ・マスの日には、人間の生活に欠かせない食べ物、それからお金や装飾品などを与えてくださる神さまに感謝の祈りを捧げ、そしてパゲルウェシの日には、この世の中のすべての調和を祈ります。
この期間はバリの人たちにとって、少し大げさに言うならば、この世に生きていくことの「意味」を見つめる期間なのではないでしょうか。知恵と聡明さ、美しさ、食べること、お金、衣服、そしてそれらすべての調和。どれもがこの世に生きていく上で必要なこと。それらを不足なく与えられますように、と祈りつつ、しかしどれもが行き過ぎることなく調和しますようにと願う。この期間はバリの人たちにとって、そんな期間なんですね。
さて、サラスワティとパゲルウェシの日が終わると、バリの人たちは早くも次のガルンガンとクニンガンを迎える心構えをします。次のガルンガンとクニンガンまではまだ2ヶ月近くあるのですが、こうしてバリの「終わらない供え物の日々」は、続いていくのです。
11月のインドネシアの祝日
11月6日 イドゥル・アドハ(イスラム犠牲祭)
11月27日 イスラム暦新年
バリ島知っ得情報
今月のバリの暦でもお伝えしましたが、11月20日は「バニュ・ピナロの日」。この日バリ人のおうちでは、「ナシ・クニン」を作って食べる習慣があります。日本ではお祝いごとがある時に、お赤飯を炊く習慣がありますが、ここインドネシアでは、お祝いごとの時にはお赤飯ならぬ、この「ナシ・クニン」をいただきます。「ナシ」とはご飯、「クニン」とは黄色、ナシ・クニンとは、そのまま「黄色いご飯」という意味なんです。
黄色い色の素は、ターメリック。ナシ・クニンは、このターメリックとココナッツミルクで炊いた、ほんのりココナッツの甘い香り漂う優しい味わいのご飯です。
バニュ・ピナロの日の「ナシ・クニン」の付け合せは、家庭によって違いはあるでしょうが、基本的なものは決まっています。まず、鶏肉(もしくはあひるの肉)。小魚を揚げたもの。薄い、塩味の玉子焼き、もやし、なす、きゅうりなどの野菜。そしてココナッツのフレーク。こういったものが、ナシ・クニンと一緒に供されるのが、バニュ・ピナロの日の「お約束ナシ・クニン」です。
日本から見ると、遠く赤道を越えてはるか南のインドネシアにあるバリ島。けれど、みなさんもご存知のとおり、バリ島も日本と同じように、人々の主食は「お米」です。いたるところに田んぼの風景が見られるバリ島。日本人にとってどこか「懐かしい」気持ちをバリ島が呼び起こすのは、この「田んぼの風景」がまさに日本と同じだから、かもしれないですね。
バリ人はほんとにご飯が大好き。食事には、白いご飯は欠かせません。白いご飯がない場合、それは食事とは呼べません。焼きソバに白いご飯。ラーメンに白いご飯。焼きソバだけ食べていると、「ご飯は食べないの?」と不思議そうに聞かれます。ましてやパンなど、バリ人にはけっして食事のメニューにはなりえない。どんなにパンを食べても、彼らにとってパンは「おやつ」の域をでることはありません。
当然、お米を使った料理やお菓子も、バリにはたくさんあります。バリ人が大好きな素朴なお菓子の中にも、お米を素材にしたものがたくさんあるんです。そしてこれらは、間違いなく私たち日本人の口にも合うテイストのものばかり。今日はその中から一部だけご紹介しましょう。
一見したところ、「お赤飯」のように見えるこちらは、黒米を混ぜた餅米を炊いたもの。黒米の色が餅米の白い色を染めて、見た目もお赤飯のようです。餅米のむっちりとした食感にところどころ混じる黒米のぷちぷちとした食感が楽しい、これはバリの「おやつ」。バリの人たちはこれに、ココナッツフレークと椰子砂糖のシロップをたっぷりとかけて食べます。ご飯に甘いシロップをかける?日本人にはちょっと抵抗があるかもしれませんが、日本にも「おはぎ」というお菓子がありますよね。餅米にあんこをまぶしていただく。お米を使った甘いお菓子っていうのは、アジアでは昔懐かしいおやつの味です。
こちらは、餅米と緑豆の炊き込みご飯です。ほんのり塩味がついていて、これだけなら私たち日本人の味覚にも違和感ないんですが、お約束のように添えられているのは、椰子砂糖をまぶしたココナッツフレーク。これをふりかけると、いきなり「おやつ」になるんです。
最後にご紹介するのは、竹の葉に包まれた餅米。この餅米の中に、そぼろにした鶏肉が挟まれています。餅米にはほんのり甘い風味が。でも鶏肉の塩気と一緒にいただくと、これは「ちまき」のような、「おにぎり」のような、なんだかちょっと「懐かしい味」がします。
こんなお菓子をバリの人たちは、甘いバリコーヒーと一緒に、ひとつ、ふたつとつまんで、朝ご飯代わりにいただくのが普通。こういったお菓子は、朝の市場や、頭の上に籠を載せて売りに来る行商のおばさんやお姉さんからみんな買っています。
このほかにもお米を使ったおやつやお菓子、それに左党の人には嬉しいお酒も、バリにはちゃんとあります。機会があればまたご紹介しましょう。日本と同じように、お米から作られる「おいしいもの」がたくさんあるバリ。熱帯のバリではひとつのたんぼから一年に二度、お米が収穫できます。日本のようにはっきりとした四季があるわけではありませんので、田植えや稲刈りの時期も、田んぼによってまちまち。青々と実った田んぼの横に、稲刈りを済ませたばかりの田んぼがあったり、さらにその横は、水を張って田植えの準備整ったばかりの田んぼがあったり。ライステラスの美しさも、バリのひとつの魅力です。
たわわに実った稲穂が揺れるのを見ていると、この島が豊かな自然に恵まれた場所なのだなあということを実感させられます。どうかいつまでも、バリ島が「実り豊かな島」であるようにと、ナビは田んぼの風景を見るたびに思うのです。いつまでもバリ島で、おいしいご飯を食べたいですもんね。
それではまた来月お目にかかりましょう。サンパイ・ジュンパ~!!
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記事登録日:2011-10-26