1月のバリ島 【2012年】

1月のバリ島はどうでしょう?

アパカバール、バリ島ナビです!スラマッ・タウン・バル!新しい年がやってきます。1月のバリ島は雨季まっただ中です。強烈な太陽の陽射しが空気をどんどん上昇させたかと思うと、黒雲が空を覆いつくし、あっという間もなく空から大粒の雨が降ってきます。激しいスコールが去ったあとは、木々の緑が鮮やかで、花の香り漂う雨季。市場には、旬を迎えたさまざまなフルーツが山積みです。雨季は本当にバリらしい、豊かさを実感させてくれる季節なんです。それでは1月のバリ島、ご紹介していきましょう。

バリ島の気候と天気

【気温】 最高33.0℃ 最低24.1℃
【降雨量】 345mm 平均降雨日27日
1月のバリ島の「平均降雨日」は27日ですが、これはけっして一日中雨が降り続けている、という意味ではありません。雨季のバリのお天気は、「変わりやすい」のが特徴。さっきまで晴れていたかと思うと突然大雨が降ってくる、ということもしばしば。
スコールと呼ばれるこの大雨は、長い時で2時間くらい、たいてい1時間くらいで納まるのが普通です。なんだ、たいして長い時間じゃないんだ、と思われるかもしれませんが、スコールの間はまず外出するのはムリだと考えましょう。スコールの中を歩き回ろうものなら、全身びしょぬれになること間違いなし。たとえ車に乗っていたとしても、アスファルトの道路に降りつける雨がもやのように立ち上り、フロントガラスをたたきつける雨と共に視界を遮ります。よほど急ぎの用事でもない限り、車での移動も、スコールの間は見合わせたいものです。
そして、スコールが過ぎ去ったあと、ここ何年かバリ島で深刻な問題となっているのが、「洪水」。ジャカルタあたりではもうずいぶん前から雨季の洪水が問題となっていましたが、ここ何年かはバリでもあちらこちらで洪水の被害が大きくなってきています。
開発という名前のもとに、あちらこちらを舗装しアスファルトで固めたあげく、土の地面が減って雨水の逃げ道がなくなってしまったのです。
この「洪水問題」は当然のことながら、田舎よりも都市部で深刻な問題となっています。田舎の、舗装されていない土の道は、雨が降ればぬかるんで車やバイクが通るのは困難です。それを舗装してしまえば、車やバイクが走りやすくなるのは当然なのですが、その弊害として、水の逃げ場がなくなり洪水が起こる。「開発」と「自然」の兼ね合いは、本当に難しいと思わされます。
それと同時に、自然の計り知れない大きなちから、そういったものを感じさせてもくれる、バリ島の雨季です

バリ島カレンダー

バリの暦
■2012年1月の満月:1月8日
■2012年1月の新月:1月23日
バリ7番目の月「サシ・クピトゥ」は1月23日まで。1月24日からバリ暦8番目の月「サシ・カウルー」が始まります。

2012年1月のバリの祝日
■シワラトリの日:1月22日
■プナンパハン・ガルンガン(ガルンガンの準備の日):1月31日
シワラトリの日:バリ7番目の月である、サシ・クピトゥの新月の前夜は「シワラトリ」と言われ、バリヒンドゥー教徒は現在、そして前世を含めた過去の行いを反省し、神に近づく、悟りを開くための瞑想、そして断食を行う日とされています。「12時間の沈黙と36時間の断食」が、本来のシワラトリの正しい迎え方らしいのですが、現在そこまでやっているバリ人はほとんどいないよう。でも、信心深い人たちはこの日、日が暮れてから沐浴、正装してお寺へ詣で、祈りを捧げます。
プナンパハン・ガルンガン:210日に一度廻ってくるバリヒンドゥーの祝日ガルンガンを迎えるための「準備の日」。今年最初のガルンガンは2月1日です。
2月1日にやってくるガルンガンのために、29日の日曜日あたりから市場は特別なお供え物の材料を求める人たちでごったがえします。材料を整え、ガルンガンの準備がピークを迎えるのが1月31日のプナンパハンの日。ガルンガン前日のこの日は、朝からガルンガンの特別料理を作ります。またこの日の夕方までには、家々の前にペンジョールという竹の飾りを立てかけます。真新しいペンジョールが通りにずらりと立ち並ぶ風景は、これぞガルンガンといった風情漂うものです。

2012年1月のインドネシアの祝日
■新年:1月1日
■中国旧正月:1月23日
西暦の新年は、バリでは特別に祝うことはしません。ニューイヤーズデーということで、もちろん学校や官公庁はお休みとなりますが、あくまでもこれは一祝日としての扱い。それよりも1月23日の「中国旧正月」のように、各民族、別の言い方をすれば各宗教ごとの「新年」の方が、現在でも大切にされているように思われます。バリの新年というのは、3月にやってくる「ニュピ」。従って新年を迎えるにあたっての特別な行事や習慣なども、1月1日にはとりたてて何もないんですね。日本の大晦日の賑わい、そして一夜明けた元旦の静謐な静けさ、年が改まったという厳かな感覚が、ここバリでの生活が長くなるにつれ、とても懐かしく感じられるナビです。

バリ島知っ得情報

ガルンガンがまたやってきます。バリの暦に従って210日ごとにやってくるガルンガン。ついこの間だったような気がするのに、もうガルンガンがやってきます。今年最初のガルンガンは2月1日。お供え物作りはもちろんそのずっと前から始まっています。
さて、ガルンガンを翌日に控えた日は「プナンパハン・ガルンガン」と言って、ガルンガンのためのお供え物づくりの仕上げの日。この日は特に、朝からガルンガンのための特別料理を作ります。今月の「知って得情報」では、この「ガルンガンの特別料理」を、みなさまにご紹介したいと思います。
ガルンガンの特別料理、これは日本で言ったらお正月のお節料理のような意味合いを持っているのではないかと思います。というのも、ガルンガンの前日から当日、そして翌日までの三日間、この料理を温め直して食べるのが普通。ガルンガン前からお供え物作り、そして当日もお寺へお供え物を持って行ったり、お寺から戻ったあとは家の中のあちらこちらを浄めたり、と、忙しい一家の主婦ですが、「ガルンガンの特別料理」の準備があるこの期間中は、日々の台所仕事からは、解放されるというわけ。
さあ、それではさっそく、この「ガルンガンの特別料理」についてご紹介しましょう。
が、その前に、この「ガルンガンの特別料理」を作るためにまず必要なものについてご説明しましょう。それは「豚」。ガルンガンの特別料理つくりは、ガルンガン前日の夜明けに、生きた豚を絞めて解体するところから始まります。と、いっても、豚1頭まるまる買うのはお金もかかって大変なので、たいていの普通のおうちでは、隣近所集まって1頭の豚を買い、それを協力して解体し、等分に分け合います。でも、お金持ちのおうちでは、何頭もの豚を解体して、親戚やお手伝いの人たちに配ったりすることもあるんです。こうして解体された、豚の肉や内臓、そして生血が、「ガルンガンの特別料理」の材料となります。
「ガルンガンの特別料理」、まず筆頭にご紹介するのは、「ラワール」。バリ料理の代表的な1品です。茹でた野菜と豚肉の皮の部分を細かく刻み、すりおろしたココナッツフレークを加え、香辛料で和えた料理ですが、新鮮な豚の生血がある時は、しあげにこの生血を加えます。もちろんガルンガンの特別料理のラワールはこの、「生血いり」ラワール。
日本の皆様は「豚の生血いり」などと聞くとぎょっとなさるかもしれませんが、この料理を作るのはもちろん、今絞めたばかりの豚の新鮮な生血を使うことが条件。スパイスの複雑な味と香りもあって、できあがったラワール、まったく生臭さは感じられません。むしろ爽やかなスパイスの効いた1品。が、この生血いりラワール、当然のことながら賞味期限はとても短くて、朝作って、遅くともその日のお昼くらいまでには食べてしまわないといけません。
では、ガルンガンの期間中はどうするのか、と言えば、大量につくったラワールはバナナの葉っぱに包んで蒸しておきます。この蒸したラワールを「トゥム」と言うのですが、ガルンガン期間中、ヘビーローテーションで毎日食べることになるのは、これ「トゥム」なんですね。食事のたびに蒸し直し蒸し直していただくのですが、バナナの葉っぱを開いた時のたちあがるスパイスの香りがとっても刺激的で、白いご飯がすすむお料理です。
そしてもうひとつ、ガルンガンのお供え物にも使われる「サテ」。インドネシアで「サテ」と言えば、ちょっと甘いピーナッツソースのかかった焼き鳥をイメージなされるかもしれませんが、バリのサテは「つくね」。肉を細かく叩いて叩いて、そこにスパイスとココナッツフレークを加えて作ったタネを、串に塗りつけて焼いたり揚げたりしたものです。サテは、鶏やあひるの肉で作ることが多いです。
このほかにも、解体した豚肉を使った料理を何品か、ガルンガンの前日には作ります。よく作られるのは豚肉とナンカ(ジャックフルーツ)の煮込み。若い熟していないナンカ(ジャックフルーツ)を使い、豚肉と一緒にスープ煮込みにしたもの。またアレスと呼ばれる、バナナの幹の繊維を刻んで、豚肉と一緒に煮込んだスープなども、バリ人の大好物。バナナの幹の繊維のしゃきしゃきした歯ごたえが楽しいお料理です。
豚肉の内臓などは、油でかりかりに揚げて料理にトッピング。こうして「豚」「豚」「豚」まさしく「豚尽くし」ガルンガンのご馳走料理ができあがりました。
これらのできあがったご馳走を、白いご飯と一緒にお皿に持って、はい、できました、これが「ナシ・チャンプル~ガルンガン特別料理版」
夜明け前の豚の解体から始まって、ガルンガン前日の午前中は、バリの人たちはそれぞれのおうちで、こういったお料理を作るのに忙しいのです。特にラワールの味付けは各家庭に伝わる自慢の(秘伝の)味付けがあったりします。「ウチのラワールはおいしい」「いやいやウチこそ!」と、バリ人は実はみんな心密かに思っていたりします。興味のある方はお友達のバリ人に、聞いてみてください。「ガルンガンのための料理を作るのを見たいのだけど」と言えば、多分みんな喜んで自宅へ招いてくれると思いますよ。そうして、料理ができあがったら、「食べろ食べろ」とご馳走攻めに会うこと必須。そうそう、もうひとつ特徴的なことをつけ加えると、これらのご馳走料理を作るのは、バリではなんと女性ではなくて男性。日々の料理を作るのはもちろん女性なのですが、こういったお祭りや儀式がある時の特別料理となると、バリでは男性が腕を奮います。豚の解体などはもちろん、野菜や香辛料を細かく刻むのも、香辛料の調合も、サテを串に塗りつけたりそれを焼いたりするのも、それは男性の仕事。じゃ、女性はその間お休みできるのか、といえばけっしてそうではなく、女性には、作っても作っても終わらない「お供え物作り」という作業があるのです。

210日ごとにやってくるガルンガン。「ご馳走作りもお供え物作りも、大変だよ」とバリの人は言いますが、見ているとなんだか楽しそうで、ナビはいつもちょっと羨ましくなってしまったりするんです。心躍る日、ガルンガンがやってきます。それではまた来月、お目にかかりましょう。サンパイ・ジュンパ~!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-12-28

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