音の宝島、第1話~バジェロ/Bajera (サムアン・ティガの祭礼から)

バジェロ/Bajera~サムアン・ティガの祭礼から。

Ubudから、東へ4km行ったところに『サムアン・ティガ』という大きな寺があります。
この寺では、年に一度大きな祭礼があり、近隣の村はみな総出でお参りします。
夕方、高く積み上げたお供え物を頭に、
お母さんたちが一列に並んで歩く姿は、なかなか見ものです。
この寺は、Ubudから近いにもかかわらず、幹線道路から外れているため
観光客にあまり知られることがなく、とても静かな環境です。
「サムアン・ティガ」とは、3人が寄り集まって会議をするという意味なのだそうですが
この寺の北東、南東、西南に3本の大きなバンヤン樹がおられます。
私は長いこと、この3本の木が話し合いをしているのだと思っていました。
ところが、話を聞いてみると
昔からこの寺は、要人が大事な決め事をするため集まった場所なのだそうです。
満月から2週間ほど続くこの祭礼の4日目には、
『プラン・サンピアン』という儀式が行われます。
プラン・サンピアンとは、「サンピアン戦争」という意味です。
サンピアンとは、ガルンガン(迎え盆)などに門の前に立てるペンジョールの先のお飾りです
その儀式の一番初めが『バジェロ』(法鈴)を持ったお坊さまの行道です。
脳に直接響くようなこの鈴の音を、今年は13人のお坊さまが鳴らしました。
普段、単独で使うバジェロ。
13個のバジェロの音は、一瞬にして寺を異次元に変えてしまいます。
お坊さまの後ろに続くのは
真っ白のクバヤ、真っ黒のサロン、そして真っ赤なハイビスカスを髪にさしたおばあちゃんたちです。
ゆっくりと、優雅に踊るおばあちゃんたちの美しいこと…
ところが…
真っ昼間に始まるこの儀式、広いお寺を何週も踊るのは、なかなか過酷なこと。
日陰で見ているだけの私たちでさえ、へとへとになってしまいます。
まず、お線香を手にして3週。
真っ白のスレンダン(帯)を手にして3週。
前の人のスレンダンを持ち3週。
次は、男性たちを率いて3週。
そして、全員が手をつないで寺を巡ります。
寺の中で、つながれた手は円となり、広がり、縮み、揺らいでいきます。
と、突然男たちが全力出走で寺を駆け巡りはじめ、
要所、要所に置かれたサンピアンを持ち、戦いはじめます。
戦いが終ると、全員で祈るのです。

この儀式に参加できるのは、この寺で祈願をし、その祈願が成就した者のみです。
それ以外の人は参加できないのです。
このバジェロの音とマントラが入ったCDがあります。
2008年1月にレコーディングされました。
ぜひ、聞いてみてください。
「BALI DREAM / Makoto Kubota」VSCD-9685
バリは音の宝島。
この島で、あなたにも素晴らしい音との出会いがありますように!

その他情報

レポーター: ASKA RyujiN-TyphooN  趣味: 生きること コメント: ワクワクしたくない?

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記事登録日:2009-04-03

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