ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ!

ウブドで有名なナシチャンプルの2つのお店、それぞれにファンを持つ2軒の「ナシ・アヤム・クデワタン」を食べ比べてみよう!

こんにちは、バリ島ナビです。今日はウブドで有名なナシチャンプル「ナシ・アヤム・クデワタン」をご紹介します。

「ナシ・アヤム」の「ナシ」とはご飯、「アヤム」とは鶏。なので「ナシ・アヤム」とは鶏ごはん、つまり鶏肉のおかずのナシチャンプルのこと。クデワタンというのは、ウブド中心から西へ約3kmほど行ったあたりの地名です。このあたりにはラフティングで有名なアユン川が流れ、街道沿いには昔ながらのバリの村の風景が残っています。そんなクデワタン村に以前から有名なナシ・アヤムのお店があるのです。「ナシ・アヤム・クデワタン」とはつまり、「クデワタンのナシ・アヤム」という意味。言ってみれば「札幌ラーメン」とか「長崎ちゃんぽん」といったような呼び名であって、お店の名前ではありません。にも関わらず、ウブドあたりの人たちに「ナシ・アヤム・クデワタン」と言えば、まずほとんどの人が「ああ、あそこね」と言うことでしょう。

ところがここにひとつ、ちょっとした落とし穴があります。「ナシ・アヤム・クデワタン」のお店、実は2軒あるのです。ほとんどまったく同じ内容の鶏主体のナシチャンプルを出すお店がクデワタン街道沿いに、50mも離れていない距離で2軒あるのです。そのどちらもが「ナシ・アヤム・クデワタン」と呼ばれ、親しまれているお店。しかも、それぞれにファンを持っています。だからどういうことになるかというと、「ナシ・アヤム・クデワタン」と言った時にバリ人がイメージするお店がバリ人によってそれぞれ違う、ということになるのです。日本のガイドブックを見ても、本によって取り上げているお店が違うようです。どちらも「ナシ・アヤム・クデワタン」と紹介しながら、あるガイドブックはAのお店を、そしてあるガイドブックはBのお店を紹介しています。
ナビは今回、この2軒の「ナシ・アヤム・クデワタン」を一度にご紹介します。今まで誰もやらなかった「ナシ・アヤム・クデワタン徹底比較」。それではいざ、ナシ・アヤム・クデワタンの食べ比べに出かけることといたしましょう!

ウブドからクデワタン地区へ行くには

ウブドからクデワタン地区へ行くのは、徒歩ではちょっと大変。自転車もしくはレンタルバイク、レンタカーの方でしたら、ウブド王宮から西、チャンプアンの方角へ車を走らせます。チャンプアンの橋を渡って道なりに、ネカ美術館方面へ進み、ネカ美術館を通り越してつきあたりを左に曲がりしばらく行くと三叉路にぶつかります。(このあたりからがクデワタン地区)この三叉路を北(右)方向へ曲がり50mほど行くと左手にヒンドゥー寺院が見えてきます。その先の右側に、最初の「ナシ・アヤム・クデワタン」、店の名前は「イブ・マンクゥ」があります。王宮からは不定期ながらパヤンガン方面へ向かうベモ(公共の乗り合いバス)も出ていて、これがクデワタンを通過するのでこれに乗って行く手もありますが、パヤンガン方面のベモは本数も少なく、行く時はつかまえられても、都合よく帰りの車をつかまえるのが難しいかもしれません。帰りをウブドまで歩く覚悟でベモに乗って行くか、もしくは最初からホテルなどでカーチャーターを頼むのがいいかもしれません。
ウブド郊外クデワタン街道

ウブド郊外クデワタン街道

街道沿いのヒンドゥー寺院が目印

街道沿いのヒンドゥー寺院が目印

最初のお店「イブ・マンクゥ」

ナシ・アヤム・クデワタン、最初のお店「イブ・マンクゥ」です。お店の前にはいつ行っても、車やバイクがたくさん駐車しています。タイルの床に木のテーブルと椅子、天井の高い広い店内。隣接するのはオーナーご家族の住居。典型的なバリ風建築のおうちのひとつひとつのテラスの前もまた、お客さんが食事のできるようなスペースとなっています。
今は「ナシ・アヤム・クデワタン」として有名になった、このナシチャンプルのはじまりは1963年のこと。最初はナシ・ブンクス(ナシ・チャンプルをバナナの葉に包んでお弁当にしたもの)にして行商で売り歩いていたこのナシ・アヤムがおいしいと評判がたち、1966年からクデワタン村の集会所の軒先に場所を借り、営業を始めることになったそう。そし現在の場所に店を開き、「ナシ・アヤム・クデワタン イブ・マンクゥ」としてオープンしたのは1985年。お店の名前「イブ・マンクゥ」というのは、「マンクゥのおばさん」という意味。このナシアヤムのレシピはマンクゥおばさんのレシプ。今は息子さんとお嫁さんが引き継いで、イブ マンクゥの味を受け継ぎ、デンパサールのレノンと、スミニャックにも支店を持っています。
「イブ・マンクゥ」の看板を目印に

「イブ・マンクゥ」の看板を目印に

広くて清潔な店内

広くて清潔な店内

ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン
お庭に点在するテーブル席

お庭に点在するテーブル席

ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン
こちらが、「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤム(1万ルピア)です。
やわらかく煮込まれた鶏肉

やわらかく煮込まれた鶏肉

ウラップ

ウラップ

かりかりの内臓や鶏皮、ピーナッツ

かりかりの内臓や鶏皮、ピーナッツ

サテと卵

サテと卵

中央に盛り付けられているのが、柔らかく蒸し焼きにされた鶏肉。さまざま香辛料の複雑な香りが食欲をそそります。付け合せはウラップといういんげん豆とココナッツフレークのあえもの。鶏の内臓やレバーは油で揚げてかりかりにしてあります。一緒に添えてあるのは小粒のピーナッツを油で揚げたもの。食感も楽しめます。鶏のひき肉にハーブを加えて練りこんだバリのサテ(串焼き)、そしてゆで卵の煮込み。これが「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤム・クデワタンの内容。

「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤムの特徴は、ハーブの使い方にあるような気がします。聞くところによると「イブ・マンクゥ」はバリ料理だけでなく、ジャワ料理も好きで、習ったことがあるとか。バリ料理ではあまり使わないこぶみかんの葉っぱといったハーブを使用したり、辛いんだけどほんのり甘さも感じる味付けが「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤムを、バリのナシ・チャンプルとはちょっと違ったものにしています。辛さと塩辛さに特徴のあるバリ料理に比べて、ジャワ料理の特徴はほんのりとした甘さ。「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤムにはそんなジャワ料理特有の風味が感じられます。辛いだけでなくて、どこか優しい味。この味が好まれて、バリ人だけではなく、インドネシアあちこちからの観光客や、外国人観光客にもとても食べやすい味に仕上がっています。

もう1つのお店、「マルディカ」

さて、「イブ・マンクゥ」をあとにして、そのまま北へ50m。「イブ・マンクゥ」の並びにあるもうひとつの「ナシ・アヤム・クデワタン」のお店がここ、「マルディカ」です。こちらのナシ・アヤムはマルディカおじさんの作るナシ・アヤム。どちらが「ホンモノ」「ニセモノ」というわけではなく、どちらもホンモノ「ナシ・アヤム・クデワタン」なのです。
ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン 「ワルン・マルディカ」

「ワルン・マルディカ」

「ナシ・アヤム・クデワタン ワルン・マルディカ」の看板をはさんで、向かって右側には、「イブ・マンクゥ」と同じように、タイルの床に木のテーブルと椅子を並べた、こぎれいなスペースがあります。中に入ると、奥が住居部分になっていて、そのテラスでも食事ができるようにテーブルを並べているところまで、「イブ・マンクゥ」とまったく同じ。こちらは2009年に新しく拡張工事をして作った、言ってみれば「レストランスペース」。
真新しくきれいなスペースです。 真新しくきれいなスペースです。

真新しくきれいなスペースです。

けれど「ワルン・マルディカ」が繁盛しているのは、この、新しいきれいなスペースではなくてそのお隣りに昔からある、いわば「食堂」部分。床や壁のシミが年季を感じさ、みるからに「ローカルの食堂」と言った感じです。
ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン ふたつのナシ・アヤム・クデワタン食べ比べ! ナシ・チャンプル ナシ・アヤムクデワタン ローカルのお客さんはこちらがお気に入りのよう

ローカルのお客さんはこちらがお気に入りのよう

それではマルディカおじさんのナシアヤムをいただいてみることにいたしましょう。
こちらが「ナシ・アヤム・クデワタン・マルディカ」のナシアヤム(1万ルピア)です。
やわらかく煮込まれた鶏肉

やわらかく煮込まれた鶏肉

ウラップ

ウラップ

かりかりの内臓や鶏皮

かりかりの内臓や鶏皮

サテ

サテ

「マルディカ」のナシ・アヤムも、ご飯の上にどんとのっているのは鶏肉を柔らかく蒸し焼きにしたもの。つけあわせも、いんげんとココナッツフレークのあえものウラップ、内臓やレバーのかりかり揚げ、ピーナッツ、ひき肉つくねのサテとほとんどかわりがありません。

食べ比べてみて・・・

ナビも正直最初は「イブ・マンクゥ」と「マルディカ」のナシ・アヤムをお持ち帰りして目の前にふたつ並べられ、「どっちがどっち?」と聞かれたら、多分わからなかったと思います。今でも3回に1回くらいは間違えてしまうかも。そのくらい、このふたつのナシ・アヤムは似ているんです。でも、あえて特徴をあげるなら、「マルディカ」のナシ・アヤムは正統的なバリ料理、そして「イブ・マンクゥ」のナシアヤムはジャワ料理のエッセンスをとりいれた味付け、と言えるのではないかと思います。

バリの料理はにんにく、小粒の赤たまねぎ、唐辛子を多用します。それにトゥラシという海老の発酵ペーストが、バリ料理ではいわゆるダシの素の役目。この材料で作るバリの料理は、塩気と辛さのきわだつ味になります。「マルディカ」のナシ・アヤムは、そんな正統派のバリ料理の味。バリ人にとっては日々慣れ親しんだ味つけのはず。ジャワ料理の味付けを加えた「イブ・マンクゥ」のナシ・アヤムはたしかに外国人やバリ島以外の島からやってくるインドネシア人にとって食べやすい味付けになっています。言ってみれば「ちょっとよそいき」のナシ・アヤム。それに比べて、正統バリ家庭料理の味付け「マルディカ」のナシ・アヤムは、「普段着」のナシ・アヤム。バリ人にとっては、とても落ち着ける味、といえるのかもしれません。

どちらもそれぞれのおいしさで、ファンを持つ「ナシ・アヤム・クデワタン」の「イブ・マンクゥ」と「ワルン・マルディカ」。ぜひ一度、あなたも「食べ比べ」してみてくださいね。以上、クデワタンからバリ島ナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-12-07

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