クバヤを作ってみよう!

バリ島の女性の正装、クバヤを作ってみよう!華やかな晴れ着の、今の流行を見てみました。

こんにちは、プスパです。日本の伝統的衣装、といえば、世界に名だたる「キモノ」ですが、ここインドネシアの「正装」で、女性が着る上着のことを、「クバヤ」といいます。クバヤはインドネシア全体で着られているようですが、バリ島と他の島では、少しデザインが異なるようです。今日は、バリ島の女性たちが着る、「クバヤ」をご紹介しましょう。

クバヤは、生地を2mばかり買ってきて、それを村の仕立て屋さんで採寸して縫ってもらう、オーダーメード方式で作られます。もちろん、既製品のクバヤも売っていますが、バリの女性たちは、小さいころから、自分の体型にピッタリ合わせて作ったクバヤを好んで着ます。
そう、バリ島のクバヤは、ボディコンシャスな、実はとってもセクシーな服なのです。バリ島の女性たちも、オシャレ好きなことでは他国にひけをとりません。特に、頻繁に宗教行事のあるバリ島では、クバヤは、ほとんど日常的に着るもので、寺院の祭礼、オダランの初日ともなると、新調したクバヤで着飾った、ゴージャスなバリの女性たちを見ることが出来ます。

クバヤは伝統的な正装、とはいえ、毎回流行があり、だいたい、ガルンガンの前にみな新調するので、その周期(約7ヶ月)で新しい流行が生れるようです。バリ島といっても様々な町、村があり、各地域で流行の形も異なります。プスパは、前回クバヤを作ってからすでに一年以上も経っていましたので、今回、久しぶりに新調してみることにしました。
では、バリ島はウブドで、どんなクバヤが流行っているのかを、レポートしてみましょう!

さて、この前のガルンガン時にも、新しくクバヤを作ることが出来なかったので、今回はガルンガンからそれに続いた一連の寺院でのオダラン(祭礼)で、今、女性たちがどんなクバヤを着ているのかちょっとリサーチしてからゆっくり生地を買いに行き、オーダーすることにしました。

生地屋さんは朝のパサール(市場)や、街中に沢山あります。ただ、外国人だと、とんでもない値段をふっかけられるので、プスパはいつも決まったお店か、クバヤを縫ってくれる縫い子さんが紹介してくれたお店で買っています。また、クバヤやカイン(腰巻布)は、歩いて各家に売りに来る行商人も多く、気に入ったものがあれば、家族でまとめて買ったりすることもあります。
バリ島でこれらの生地、カイン、サロンなどの卸問屋街といえば、デンパサールのパサール・クンバサリ周辺にあり、生地屋さんが軒を連ねています。バンジャール(集落)のご婦人方で構成されるPKK(婦人会)というグループが、定期的に揃いのクバヤとカインを新調するのですが、そのときも大量にまとめ買いしに、デンパサールまで行くと聞きました。随分安くで買えるようです。プスパも独身時代は、よく生地を見にデンパサールまで行ったものですが、子供が出来てからはそんな時間もなく、もっぱら近所で入手しています。

さて、クバヤの生地・色・形は自由に、自分の気に入ったものを選び、それに合わせるカイン(腰巻布)、スレンダン(腰帯)、などとの色合せは、個人個人のセンスのみせどころ。
さて、ここでクバヤを着る時に必要なものをご紹介します。まず、カインを下半身に巻いてから、補正下着のようなコルセットのような下着をつけます。これは、カインの腰の部分を抑え、上半身をすっきりと見せる必需品であります。大昔は長~い布をびっしりぐるぐる巻いていたようです。その上からクバヤを着るのですが、クバヤの生地がレースでスケスケの場合、「アンキン」という、色のついた薄い下着をもう一枚着ます。クバヤ生地と同系色にしたり、わざと違う色を持ってきて透けさせたり、と、これも個人の着こなし次第。これは、安く、クバヤの生地を売っているお店なら、たいてい置いてあります。プスパが買ったときは確か1万ルピアくらいでした。

形の流行もそうですが、色、生地にも流行があるようで、ここ何年か、「白のクバヤ」が不動の地位を保っています。少し前は、目の覚めるような鮮やかな色の、「ブロカッド」というレース地のスケスケの生地や、ラメやスパンコールをふんだんに使ったキラキラなものが流行っていましたが、ここ最近はまた、グレーやモカ、モスグリーンなどのちょっと渋い色目が多い気がします。お寺に参る時は、清浄な色である白がよい、とされるのですが、日本と同じく、他人の結婚式に参列する時は、真っ白は避けたほうがよいようです。
さて、今回プスパが目をつけたのが、「ボルデール、ボルディラン」と呼ばれる、コットンやシルクなどの、いわゆる布帛で、襟口、袖口、裾にレース編みや刺繍などの飾り縁が施されたもの。特に、背中の部分に大胆に刺繍が施されたものが欲しい!
何人かの女性がこれを着ているのを見て、一目ぼれした訳です。まずこれを買いに生地屋さんへ。いつもプスパのクバヤを縫ってくれる女性が、「ウブドだったらあそこで買ったらいいよ。ぼったりしないし、種類も豊富だから」と教えてくれたお店で、目当ての生地を探します。

今までブロカッド(レース地)のクバヤしか作っていなかったので、今回初めてボルディーランの生地を買うことに。生地も、スイス製コットン、だの、フランス製シルク生地、だの、日本の刺繍、だの、色んな種類があって、値段もまちまち。
プスパの欲しい、背中にも刺繍が入っているものが、案外少なく、4色しかありませんでした。なので、思い切って、顔映りのよかった鮮やかなオレンジ色のコットン生地を選択。そして、色々見ているうちに我慢できなくなり、もう一枚、クリームがかった白のシルク生地も買っちゃいました・・・。
お店では、顔見知りのバリ人女性がやはり買いに来ていて、ローカルの女性たちが多く、彼女たちの話も参考にしながら、ああだこうだと生地を選ぶのもまた楽しいものです。お値段も適正価格、でも、バリ島では何事も一応値切るのがお約束。試しに聞いてみたら、ちょっとまけてくれました。ラッキー!

いいお店を見つけた!と思い、写真を撮っていいか聞いたところ、「写真はダメ」とのこと。なんでも、ここは、オーダーで布帛と刺繍を組み合わせて販売しているらしく、生地の模様が外部にもれるのを警戒しているのでしょうか・・・?喜び勇んで生地を持っていつもの縫い子さんのおうちに行くと、「アドゥー!!!今、注文がいっぱいなのよー!!あの袋が30人分でしょ、あっちのが25人分、まだ出来上がってないのよー!ごめんね、いつ縫ってあげられるか分からない」と言われ、ガガガーーーン!ここ何年か、同じこの女性に作ってもらっていたので、よそに出すのがちょっと不安。
と、いうのも、今回、プスパにしては、ちょっと値の張る生地だったので、やっぱりいつもの縫い子さんにお願いしたい・・・。彼女は、身体にぴたーっと作ってくれるので、クバヤを着る時にも結構気合が入るんです。なんせ、体型がモロに出ますからね~。最寸時も、「あら、この間よりちょっと太ってるわよ。お腹も出てる。」などと厳し~いチェックを入れてくれるのですが、出来上がりはこうなって、こんな帯やこんなカインと合せるといいよ、と適切なアドバイスもしてくれる、有り難い縫い子さんなのです。

その彼女に、最近のクバヤの流行について聞いてみました。
やはり、圧倒的にボルディーランが主流ですね。刺繍も色を使ったものから、手の込んだレース編みのようなものまで、様々です。襟も、折り返し襟や、丸襟、立ち襟、大きく繰りの開いたもの、と、ひとつとして同じデザインのものがありません!見てるとどれもこれもよく見えますね。

せっかく買った生地、やっぱり早く着たい!と思い、いつもの縫い子さんは諦めて、前からちょっと気になっていたお店に行ってみました。ここで採寸してもらって、通常なら約一週間で出来るのだけど、ちょっと注文が立てこんでるので、10日ほどかかります、とのこと。ワクワクしながら待ちましょう。

さて、お寺では、みなどのように正装しているのか、ここで画像でご紹介。やはり、お寺に参内、ということもあってか、圧倒的に白いクバヤが多いですね。そこに様々なカインと腰帯を合せています。
ちなみに、お坊さんの奥さんは、お坊さんに代わって色んな宗教行事を執り行う聖職にあります。なので、彼女たちは、必ず真っ白のクバヤに真っ白のスレンダン(腰帯)、時にはカインも真っ白のものをつけます。この格好をしている女性は、聖職にある女性なのです。
カイン(腰巻布)も、最近の若い女性達は、腰から脚の線がくっきり出るように、ちょっと斜めにキュッと巻き付けています。
巻きの最初の方は膝くらいの短さで巻き始めて、下に行くほど絞るように、きつめに巻きつけるのですが、この巻き方は足が開きやすく、歩きやすいのですが、歩いている時に、膝下から生足がちらちら見えて、なんだかセクシーなんですよね。

小さい女の子も、きちんとクバヤとカインで正装しています。可愛いですよね。お人形さんみたいです。家族でお揃いで作ったり、母親の余りの生地で娘の分も作ったり。また、小さい子供用のクバヤとカインは、パサールやスーパーなどで、上下でセットになったものが安く(3万ルピアくらい)で売られており、成長期の子供にはそれで充分だと思います。
腰帯もやはり流行があります。ちょっと前は夜に闇の中でキラキラ輝く夜光塗料のようなものを施したスレンダン(腰帯)が流行っていました。そして、そのまえは、細めのものを、腰に引っ掛けるようにゆるく結んだ形が流行っていて(洋服もローウエストが流行っていた時期)、細い腰の若い女の子たちなんかは、それは恰好よかったんですよ。

最近は、ちょっと流行が昔に回帰しているようで、かなり太目のものを、着物の帯のようにきっちり巻いている若い子を、よく見かけます。なににせよ、未婚の、すっきりと細い女の子のクバヤ姿は、本当にほれぼれするほど素敵です。やっぱり、腰が細い!

そして、正装してお寺に行く時は、髪の毛はきっちりくくります。年少の女の子は、腰まで伸ばした長い髪をひとつにくくって垂らしていますが、結婚したご婦人は結い上げています。お花を飾ったり、金のかんざしを挿したり。耳飾、指輪、ブレスレット、ブローチなどで、全身を飾ります。純金製のアクセサリーを身につけている人が多いので、切れて落としたりしないように、みな気を配っています。

この、クバヤとカイン、お金をかける人はとことんかけます。クバヤの生地は、安いものだと3、4万ルピアくらいから有り、上はそれこそジュタアン(100万ルピア単位)の世界で、カインも同様です。プスパの場合、今回、20万ルピアと30万ルピアのものを二つ買ってしまいましたが、これはプスパにとっては、「高い部類」の値段です。そこに縫製代金が、安いところだと2万5千ルピア、ちょっと複雑だったり急いでもらう時は4,5万ルピアくらい。ですが、縫製だけで20万ルピアもかける人も居る様で、まったく相場がよく分かりません。高い生地との微妙な違いは、ぱっとみただけではプスパなどにはよく分かりません(笑)が、日本製のビーズを全体的にあしらったものなどはとても高いようです。
プスパのバリ人の親戚の女の子は、大きなリゾートホテルで働いており、制服もありますが、週のうち何回かは自前の正装で勤務があるようで、頻繁にクバヤを作っています。そういう大きなホテルでは、従業員同士で情報交換も盛んで、いち早く流行りのクバヤや、変わった生地などを仕入れているようです。プスパも時々便乗して買わせてもらっています。

このように、クバヤはバリ人の女性が最も美しく見える衣装であり、とても身近な正装の衣装です。日本の着物だと、手入れと着付けが大変な気がして、中々手が出ないのですが、きっと昔の日本人は、バリの人たちがクバヤを着るのと同じ感覚で、日常的に着物と接していたのでしょうね。

クバヤは値段も手ごろなもので種類も豊富ですので、気軽に楽しめるオシャレだと言えるでしょう。祭礼や儀礼の際にしか着ないのではなく、れっきとした正装ですので、パーティーや式典の際にも、大いに活躍します。着方も簡単ですので、バリに来られた女性の皆様、旅の思い出にぜひ一着!混んでいなければ、通常3日ほどで縫いあがります。

さてさて、プスパのオーダーしたクバヤはどうなったでしょうか?
こんな感じに仕上がりました!体型にちょっと難ありですが、中々きれいに仕上がっていて満足です。背中の模様もこんな感じ。
もっと肌の色と違う色の生地だったら、さらにセクシーでしょうね。今年の後半は、このクバヤをフル活用します。女性の皆様、ぜひ一着クバヤ作りにトライしてみてください。

以上プスパでした。

その他情報

レポーター: プスパ  趣味: 昔はバリ舞踊。今は読書、読書。ひたすら読書。 コメント: 煙草と酒漬け、アレルギー体質の日本時代。20代後半から、何を血迷ったかいきなりバリ舞踊とバリ島にハマる。踊りのために禁煙までするいれ込み様←バカ。 現在: バリ人♂と結婚し、「貞淑な妻・堅実な母」の仮面を被っている(つもり)。同居、バリの二世帯住宅に住む。
関連タグ:クバヤ正装

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-07-01

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