バリ文化体験-バリの家ご飯

バリの人が普段家で食べているご飯、気になりませんか?

こんにちは、プスパです。今日は、みなさんに、バリの家庭の、毎日の食卓をご紹介しちゃいます!

食卓、と言っても、バリにはみんなで集って食卓を囲む、という習慣はないのです。だいたい、「食卓」、つまりテーブルがない!
プスパもテーブルに椅子、もしくはちゃぶ台に正座、一日一回は、できれば家族揃って一緒に食事を、という「日本の食卓」に慣れ親しんで30年、だったので、最初、このバリ人の食事風景は奇妙にうつりましたー!

まず、日本人は一応、朝・昼・晩と三度の食事を摂りますよね(建前上では・・・)?しかし、バリ人は「おなかがすいたなー」と思ったときに、台所に作りおきしてあるご飯を、ささっとものかげで食べるんです。こちらの食事の仕方は、お皿ひとつにご飯とおかずを載せて、清浄な手である右手を使って食べます。汁物を食べる時や、外食する時は、スプーンとフォークを使いますが、基本的に食事は右手の「浄指(親指・人差し指・中指)」を使います。テーブルは使わず、床に座って手にお皿を持つスタイルが一般的。一日に三回、と決まっている訳ではないので、二回でも三回でも四回でもいいのですが、プスパの家では、がっつりちゃんと食べるのは、大体、二回ですねー。
朝はまず、バリ・コピと甘いジャジョーで目を覚まします。これは、コーヒーと蒸し菓子、のことです。

最近はバリ人もインスタントコーヒーを飲む人も増えてきましたが、インドネシアのコーヒー(コピ)といえば、コーヒー豆を挽いた粉に、お米、もしくはトウモロコシの粉を少し混ぜたものに砂糖をたっぷり入れ、熱湯をそそいで、粉を沈殿させてから飲むものを言います。もちろん、コーヒー豆100%のコピが一番良いのですが、バリ人たちは「苦い」といって、米粉を少し混ぜたものを好むようです。
このコピと一緒にいただくジャジョー(お菓子)は、朝早くから村のあちこちで売り出されます。お米・赤米・もち米をベースに、カボチャや豆やバナナと一緒に甘く蒸したものに、ココナッツ・フレークと椰子砂糖の蜜をかけたもの。ほんのり甘くて素朴なおいしさです。けっこう腹持ちがいいので、これだけで軽い朝食代わりになります。
お菓子のほかに、モヤシ入りのお粥なども売れ行きがよく、小さい子供や、もうちょっとちゃんと食べたい人は、このお粥をよく買ってきて、食べています。

このお粥は、お米のお粥にもやし、スープにかなり辛いサンバル(香辛料)がかかっているだけのシンプルなものですが、まずサンバルの辛さで目がすっきり覚め、ほどよくお腹もふくれる量で、なかなかおいしいですよ!このお粥で、500ルピア(5円くらい)です。お菓子も一人分500ルピア。
朝は早起きなバリ人。薄暗い時間、5時や6時に起きだして、庭や家寺の掃き掃除をし、前述のお菓子やお粥や、その日の食材を買出しに出かけます。

パサール(市場)が近い所は、パサールまで毎朝買い物に行くのですが、ちょっと離れた集落などは、朝、村の辻々に、簡易市場が出ますので、そこで買い物をしちゃいます。もしくは、近所のワルン(よろずや)で、ちょこちょこ野菜や卵や、お魚、豆腐、お肉や香辛料の材料を買って済ませることが多いです。
ではでは、早速、朝ご飯の支度の様子を覗いてみましょう!

バリの普通の家庭では、どんな食事をしているのー!?と、みなさん思ってらっしゃいますか?毎日ミー・ゴレン(焼きそば)やナシ・ゴレンを食べてるの?って思ってます?

よく、観光客向けのレストランには、「ミー・ゴレン」「ナシ・ゴレン」というメニューが「インドネシアン料理」として有りますが、一般家庭のご飯メニューではありません。まず、一皿まるまるを一人で食べる、ということがないのです。あ、でもプスパは、子供に食べさせるのに、よくこのメニューは作りますが。
だいたい、「麺」というのが、ここバリ島では、「おかず」の一種なんです。ミーゴレンも、それだけで一食、という食べ方ではなく、少しだけおかずの一種として、「ご飯と一緒に食べる」ものなんです。まるで関西、ナニワの食文化「らーめん定食」のようです。プスパもばりばりの関西人ですが、幼い頃からこの「麺でご飯を食べる」というのは、頑なに拒否してきました。「それは、アリなん!?」ってずっと思っていたんです。しかし、ここに嫁いで、毎日家でご飯を食べていて、今ではなんの抵抗もなく、麺をおかずにご飯を食べている自分が居ます。慣れって、オソロシイものです。
ただし、こちらの「麺」、インスタントの乾麺がほとんどなんですよね・・・。生の麺もあることはあるのですが、日々の食卓に載るのは、たいてい、この安くあがるインスタント麺です。これには、「ミー・ゴレン(焼きそば)」「ミー・クワ(汁そば)」両方有ります。夕方などは、朝、作ったおかずもほとんど無くなっているので、このインスタント・ミー(麺のことです)に、野菜や卵をちょちょっと入れて、簡単に作ってオワリ、なんてことも有ります。
話がそれましたが、さて、バリご飯のしたく。まずカマドに火を入れるところから始まります。
うちには元々ふたつ台所があり、ひとつは半屋外のカマド式、もうひとつは一応ガスレンジを置いてある屋根つきの一棟でした。水周りは、水がめに水道水を貯めておいて、それを使うやり方。流しも無く、タライに水をはって食器洗い。入り口のドアは壊れて閉まらず、夜になると鶏が台所に寝にやってくる・・・・。
プスパが嫁いできてから、あまりに使いづらいので、屋根つきの方を改装し、プスパでも料理できるような普通の台所に作り変えたのですが、姑はやっぱり未だにカマドで料理しています。ご飯もずっとカマドでセイロのようなもので炊いていたのですが、電気炊飯器を購入してからは、もっぱらジャーで炊いています。7人家族なので、毎日10合炊きます!!人間様のほかに、ニワトリ、アヒル、犬などにも餌をやるので、ご飯は余ることはないのです。
バリご飯のスタイルは、ナシ・チャンプールです。レストランのメニューにも「ナシ・チャンプール」というのがありますが、要するに、お皿の真中に丸く盛った白いご飯のまわりに、幾種類かのおかずをぐるりと並べ、一皿でサーブされるもののことです。その、おかず、が、バリにはバリ独特のものがあり、ジャワ島などのおかず類とは、ちょっと違う、という訳なのですね。

そういうわけで、朝のご飯のしたく、まず基本は、「サンバル」。これを作ることです。
サンバル、というのは、あえて言うと、日本の食卓における「おつけもの」もしくは「お味噌汁」みたいなもんでしょうか。
 サンバルは香辛料の炒め合わせたもののことで、自分で好きなだけとって使う、自家製調味料のことなんですが、炊きたての白いご飯に、このサンバルだけでいい、っていうくらい、バリ人にとってはなくてはならないもの。各家庭で作り、独自のレシピがあるので、「おつけもの」「お味噌汁」と言ってみたのですが。
サンバルの材料は、青唐辛子、にんにく、赤たまねぎ、しょうが、こしょう、それにトゥラシというエビや小魚などを醗酵させた調味料や、トマトを入れるところも有ります。
本当に各家庭によって、サンバルの作り方は様々で、味付けも一様ではありません。
まず、バリの台所に欠かせないのがスパイス。半屋外の台所には、常に、ニンニク、赤タマネギ、ショウガ、クニットと呼ばれるウコン(ターメリック)、白・黒コショウ、チャベと呼ばれる青トウガラシ、チャベ・ロンボッと呼ばれる赤トウガラシ、クンチュ-ルと呼ばれるバンウコン、などが常備されています。
青トウガラシや、酸味をとるのに使われるレモン、長コショウなどは庭に自生しているものを使います。それに、トマト。トマトは、野菜としてそのまま食べるより、スパイスの一つとして使われます。バリ料理には欠かせないものです。
それをひたすら切って切って切りまくる。
バリ料理の調味料の基本は、まずこれらのスパイスの調合ですので、その日の料理の量にあわせて、まずスパイスの準備をします。

「揚げたサンバル」用にはスライスしただけのものを、高温で揚げます。ニンニク、赤タマネギ、クニット(ターメリック)をココナッツ・オイルでからっと揚げます。この、ニンニク・オニオン揚げを「embe」(ウンボ)といいます。
次はバリ料理の鮮烈な辛さの源である、青トウガラシの辛いサンバル。これは、青トウガラシ、トゥラシ、クンチュ-ル(バンウコン)、を細かくきざんで、ココナッツ・オイルで揚げます。どちらの場合も、プスパの家では、塩を使いません。お塩は、ご飯を食べる時に、各自で好きに調節して入れます。姑の話では、塩を入れて揚げると、すぐにべちょっとしてきて、腐りやすいのだそうです。確かに、うちのサンバルは、いつも新鮮でおいしく、嫁に行った姉妹達も、よくこのサンバルを貰いに来ます(笑)。
次に、肉や魚、野菜の調味用として使うスパイスは、プニャントカンと呼ばれるすり鉢、もしくはルスンと呼ばれる臼とルゥと呼ばれる杵ですり潰します。

この、すり潰された状態のスパイスを「バソー」と呼びます。
今日の食材は、ピンダンと呼ばれるイワシの塩漬けと、鶏肉、豆腐、カンクンと呼ばれる空芯菜、それと、市場で買ってきた「ウルタン、豚の腸詰」です。
そうそう、日本ではお肉もお魚もきれいにカットされて、パック詰されて売っていますよね。切り方も、薄切りから煮込みようまで、すぐに調理に使えるような状態ですが、こちらでは、お肉もお魚も、「かたまり」で売っています。市場ではもちろん、スーパーマーケットでも、さすがにミンチはありますが、せいぜいブロックに切り分けられている程度。骨付きですので、料理の下処理が結構大変・・・・。
と、思いきや、こちらの料理の仕方は豪快です。もともとお肉類は家で家畜を絞めて、さばくのが基本ですので、内臓は分けて、洗ったりしますが、お肉は骨ごとぶつ切りです。斧のような包丁で、がつんがつん、と豪快に切り分けて、調理します。お魚も、そのまま、頭から尻尾まで、丸ごとカラッと揚げるか、スープの出汁にして、ぐずぐずに煮るか。だいたい、バリ人はあまりお魚を食べないんですよね・・・こんなに海に囲まれた島で、色んな魚が捕れるだろうに・・・。魚といえば、「ピンダン」と呼ばれるイワシやサバの塩漬けをトマト味のサンバルで揚げるか、バナナの葉っぱで包み蒸しにするか。たまにツナやエビが手に入るので、スープにしたり、包み蒸しにしたり。白身の海のお魚も、たいがいカラッと揚げて、頭からパリパリと食べてしまいます。お魚を食べる民・日本人としては、バリ島に長く暮らすと、お魚に飢えてくるのであります~。
それはともかく、今日は、「揚げる日」のようです。手間が面倒なので、食材を揚げる日は全部揚げ物、煮る日は、さきほどご紹介したすり潰しスパイス、バソーに、サンタンというココナッツ・ミルクを加えて肉も野菜も煮る、ということが多いです。

各食材に、「バソー」と塩、トマトを適宜加えながら、揚げたり炒めたり。空芯菜も、こんなに大量ですが、炒め煮すると、とっても少なくなってしまいます。バリ人は、この空芯菜をよく食べます。田んぼのあぜ道の脇に、植えてあったり自生していたり、身近に豊富にあるので、頻繁に食卓に登場します。プスパもこのカンクンの炒め物が大好きです。
調理としては、スパイス・調味料の準備がちょっと大変ですが、あとは揚げるか、煮るか、炒めるか、バナナの葉にくるんで包み焼きにするか、ですので、とっとと終ってしまいます。料理をしながら、まず炊き上がったご飯で、「サイバン」という小さなお供え物を作って準備し、調理が終ると、サイバンをまず家の敷地内全てにお供えし、ようやく食事、となります。
バリの主婦は、朝、家族分のご飯を炊き、おかずも大量に作っておいて、台所に置いておくのです。それを、家族が、それぞれ好きな時に好きなだけ、各自で食べます。
だから、必然的に朝(昼)ご飯がメインで、出来たてで、おいしいのを、しっかりと食べます。夕方頃には、おかずもほとんど無くなるので、何か簡単に作り足すか、夕方頃になると出没する屋台で、何か買ってきてそれをおかずにご飯にするかで済ませます。

日本では、三度三度の食事に頭を悩ませる、と、よく耳にしますが、ここでは、朝、とにかくがばっと作っておけば、あとは各自で勝手に、という感じなので、楽といえば楽!?ただ、栄養の偏りは少々気になりますが・・・。
あと、プスパが好きな家のおかずをちょっとご紹介しますね。

サガール、という、ココナッツ・フレークとサンバル、レモン汁少々、それに小魚の煮干を揚げて、細かく砕いたものを混ぜあわせたもの。これは、「ふりかけ」のように、ごはんにかけて食べるのですが、これがウマイ!!プスパは、おかずはこれだけでいい、っていうくらい好きなんです。
サンタン、というココナッツ・ミルクも、バリの料理には欠かせませんが、そのココナッツ・ミルクを絞ったあとの滓を使って作られる「ペーサン・クルンギス」というのも、プスパの大好物。
調理法のひとつに、バナナの葉で包み焼きにする、というのも、こちらでは一般的なのですが、これらの包み焼きのことを「ペーサン」といいます。カマドの火の部分で、鉄かアルミの鍋蓋のようなものの上に載せて、焼きます。セイロで蒸す場合もあります。

お肉や魚を香辛料と一緒に包み、火を通すのですが、ペーサン・クルンギスは、ココナッツのミルクの絞り滓を、各種スパイス、カユ・マニス(シナモン)の葉と混ぜ合わせて包み焼きします。これがまた、おいしくて、プスパはお肉の包み焼きより、こちらの方が好きなくらい。
家の近所で、これを作って売っているところがあるので、夕方、よく買いに行きます。一本で一人分、1000ルピア(約10円)です。

このように、バリ島、いえ、インドネシアはブンクス(包んで持ち帰り、テイク・アウト)の盛んなところなので、みな、気軽におかずを買いに出かけます。よく気をつけて見ると、あちこちのワルンに、色んな手作りのおかずが置いてあるので、旅行で来られた方も、ちょっと試してみてください!非常に安いですし、レストランの気の抜けたような味のインドネシア料理に飽き足らない方には、きっとおいしいと思ってもらえると思います。ただ、かなり濃い味付けで、もちろんバリ人好みの味付けですので、辛い!ですよ。ハティ・ハティ、ヤ(注意してね)!!

以上プスパでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-04-03

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